実は、ハイアールや美的集団が、1社で生産する白物家電製品の年間生産台数は、日本の年間市場規模全体を遥かに凌ぐ規模になっている。これらの企業は、それだけの規模でビジネスをしており、それが競争力のベースとなっているのだ。

これに対して、日本の家電メーカー各社は、家電が普及しつくした日本市場を対象にビジネスを行ってきただけに、数量の成長は限定的とならざるを得ない。しかも、他国に比べて家電メーカーが多い国でもある。エアコンを例に取れば、日立、パナソニック、東芝、三菱電機、シャープの5社のほかに、ダイキン、富士通ゼネラルという専業メーカーも加わる。これらの企業が、飽和状態となっている国内市場でのパイを取り合っているという構図だ。

海外市場の変化がポイント

だが、これは決してマイナス面だけに作用するものではない。

最も品質や機能性に対する要望が高い日本市場で鍛えられた日本の家電メーカーは、高い品質と付加価値を持った製品開発では先行し、プレミアム家電と呼ばれる市場も作り上げた。

日本から優れた家電製品が数多く登場している点は、紛れもない事実である。これをさらに生かしていくことが、日本の家電復活のポイントになるはずだ。市場が成熟すれば、次に求められるのは付加価値である。中長期的にみれば、日本の家電メーカーが活躍できる場は決して少なくない。そのためには、次の時代に向けたグローバル展開を行える体制づくりを、いまから行っておく必要があるだろう。その点では、海外資本参加に入った、シャープ、東芝も絶好のポジションを得られる可能性があるといえる。