首都圏でのPRイベントは好評

特A取得で弾みをつけた「青天の霹靂」。2016年産から作付面積を2015年産の約3倍となる約1,560haに拡大し、本格栽培を開始した。いよいよ県外で全国の上位クラス米と並んで販売される。青森県としては、「青天の霹靂」を牽引役として「あおもり米」の認知度を上げる考えだ。

青森県の担当者は、「ブランド化の正念場を迎えるので、首都圏を中心に宣伝を強化する必要があると考えています。これまで得られた高い評価や注目度を維持して継続的に情報発信をしていきます」と意気込む。2015年産も実は、銀座三越など首都圏にて試食PRイベントを行っている。一般向けだけでなく、スクウェア・エニックスやヤフーといったクリエイターが多い会社の食堂へ出張し、PRするというユニークな試みも。こうしたイベントでは「もちもちしている」「甘みがある」など、好評価を得られたそうだ。

スクウェア・エニックスでのPRイベントの様子

六本木ヒルズの田植えイベントには140名が参加した

2016年5月28日には森ビルと連携し、六本木ヒルズの屋上庭園(普段は立ち入り不可)で田植えイベントを開催した。六本木ヒルズに住んでいる、もしくは働いている人とその家族を対象にしたイベントで、これもPRの一環。青森県の担当者は「東京の屋外で栽培するのはこれが初めて」と期待半分、不安半分といった表情だった。そんな様子をよそに、子どもたちは初めての田んぼに大興奮。当日は大人90名、子ども50名の計140名が参加し、にぎわいを見せた。

話題作りに努める

おいしい米の産地としてのブランディングが強烈に成功したのは北海道だろう。気候の変化といった要因もあるが、いまや「ゆめぴりか」や「ななつぼし」などで「北海道の米はおいしい」というイメージをみごと定着させた。

一方で、北海道の対岸にある青森県というと、リンゴやマグロ、ニンニクといったイメージがどうしても先行してしまい、米は思い浮かばないというのが正直な感想だ。生産者の工藤氏も「青森にブランド米は必要ない、とか、業務用の米を作っていればいいんだよ、と言われたことがある」そうだ。今後の課題はまさにここ。作付面積が増えても高い品質をキープするという生産上の課題ももちろんあるが、県内県外問わず青森県の米について知ってもらうのが肝要だ。青森県の担当者は「青森の米はおいしいと認知してもらいたい」としたうえで、「話題性のあるイベントなどを実施していく」と今後について教えてくれた。

冒頭でも述べたとおり、青森県はおいしい食べ物に恵まれている。「青天の霹靂」は食材のおいしさを引き出すような味わいで、青森県の三村申吾知事は「さっぱりしているのに、甘さと旨みが後をひく。いろんなおかずとの相性が素晴らしい」と表現している。晴れわたった空に突如として現れる稲妻のように、数ある米のなかで存在感をアピールできるか、2016年は試される年となりそうだ。

まずは2016年産も特Aを取れるかどうか、というところもポイントになってくる