Appleがスマートホームデバイスをリリースとした際に、米国の一般的な家庭において、飛躍的に便利になるであろう機能がある。それは、「バッファ」としての役割だ。

例えば、Apple TVでiTunes Storeの映画をレンタルして見る際、問題になるのがインターネットの通信速度だ。フルHDの映像であっても、状況が悪いと、映像が途切れて待たされることが少なくない。NetflixやYouTubeでも、同様だ。

筆者の自宅には、コムキャストのケーブル回線でインターネットに接続している。ベストエフォートで下り50Mbpsというスペックだが、せいぜい10~20Mbps出れば良い方、というレベルだ。日本の光ファイバー主流の回線環境は夢のような存在だ。

速度の上限に余裕がない中で、他のコンピュータも通信をしている環境であると、どうしてもストリーミングに支障が出る。バッファ機能は、これを防ぐ役割を担ってくれると良いのではないか。

iTunes Storeでレンタルした映画や、購入済みでしょっちゅう再生する映画、よく聞くApple Musicのプレイリストなどを自動的にルーターにバッファしておき、Apple TVやiPhoneなどのデバイスから呼び出された際に、既にダウンロード済みのコンテンツを流す、という仕組みになっていると、コンテンツのストリーミングサービス活用は驚くほど快適になるはずだ。

Time Capsule

もしSiri Home的なデバイスがストレージを持つとすれば、これまでのTime Capsuleのようなデバイスのバックアップ用途ではなく、バッファの役割を果たす32GB程度のフラッシュストレージで十分だ。

本当は、ストレージを持っているApple TVにも、そうした機能が入っていれば良いのだが……。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura