正直なところ、筆者も、音声よりマルチタッチディスプレイの方が使いやすい、と考え続けるだろう。そもそも、音声での操作が便利な場面は、筆者の生活の中で非常に限られているからだ。
例えば、料理をしているとき、両手が濡れている状態で5分を測るときには、レシピを見ていたiPadに向かって「Hey Siri」と話しかけるのが一番良い。あるいは、運転し始めてから自宅へ帰るナビを起動するときも、声が一番ふさわしいだろう。
しかし、それ以外の場面では、声を発せず、静かに指先で操作する方がふさわしい。自宅の中で何か操作するたびに声を発していては家族からクレームが出るだろうし、電車の中などの公共空間ではなおさら、使いにくい。
モバイルによってコンピューティングがより個人的なものへと変化し、また場所にとらわれなくなった昨今において、音声による操作はふさわしくないのだ。
声を発することで周囲の人にも情報を与えてしまうし、パーソナル性も保てない。家も、街も、扱う情報も、音に載せて扱うようにはできていないのだ。