今回の評価機材 - 外観から分かるHaswell-Eとの違い

それでは実際の評価製品をご紹介したい。まずCPUパッケージであるが、ヒートスプレッダの形はHaswell-Eベースのものとは随分変化した(Photo15)。裏面のパスコンも、Haswell-Eと比較すると随分増えている(Photo16)。ちなみに側面からだとPhoto17のような感じだ。

Photo15:ES品ということもあり、ヒートスプレッダに刻み込む形で識別番号が手書き(というか、手彫り?)で残されていた

Photo16:TDPそのものは同じだが、プロセス微細化で低電圧化した結果、消費電力が増えたことへの対応だろうか?

Photo17:現行のSkylakeと同様に基板そのもの薄くなっており、どうも基板の上にインターポーザーを介してCPUのダイが乗っている様な構造になっている気がする

Photo18はCPU-Zでの表記である。Haswell-Eのものと比較すると、TSX命令が有効になっているのが目立った違いだろうか。キャッシュの構成(Photo19)は特に変化はなかった。

Photo18:コア電圧は0.749V。実際にはVcode以外の電源もあるから厳密ではないのだが、仮にVcodeだけで140Wを供給すると電流は最大187A近くに達するわけなので、これはこれでなかなか恐ろしい

Photo19:Haswell-Eと比べるとコア数が違うだけで、あとは一緒

フルカラーLED搭載のX99A GAMING PRO CARBONで試す

このCore i7-6950Xを利用するマザーボードだが、今回はMSIからX99A GAMING PRO CARBONを借用した(Photo20)。

Photo20:ついでにフルカラーLED搭載。想定市販価格は42,800円

配置は案外にすっきりしており(Photo21)、大きなCPUクーラーでも邪魔になりにくい。裏面もかなりすっきりした構成(Photo22)である。電源は8way構成の模様(Photo23)。マザー上面には動作表示の7セグメントLEDも配される(Photo24)。

Photo21:この状態だとCARBONの名前らしく、全体に黒っぽいだけである(通電すると派手だが)

Photo22:CPUソケットとVRM用のバックパネルが目立つ

Photo23:このアングルからだとMYSTIC LIGHT LEDの存在がわかりやすい

Photo24:ATX12V用の8pinコネクタは、ヒートシンクをうまく避けて作られているためか、案外に着脱しやすかった

PCI ExpressのSignal SwitchにはFintekのF75480Bが搭載されていた(Photo25)。

Photo25:これはPCIeレーンが28本の製品(Core i7-6800Kとか)でSLIなりCrossFireなりを行う場合に信号を分配するためと思われる

バックパネルはPS/2ポート(MSIによればGaming Device Port)が搭載されているのがいかにもGaming向け製品である(Photo26)。PCIeスロットとDDR4スロットは、同社のSTEEL ARMORでカバーされており、そのPCIeスロットの奥にM.2スロットも配される(Photo27)。

Photo26:USB 3.1 Type-Cも1ポート実装

Photo27:MSIによればこのSTEEL ARMORにはEMIシールドの効果があるとのこと

バックパネルと反対側にはSATA×6の他U.2と、USB 3.1 Type-Cも用意される(Photo28)。マザー下には、もはやMSIの製品にはお馴染みGame Boostのダイアルも当然装備されていた(Photo29)。

Photo28:SATA Expressは写真で左の方に追いやられることに

Photo29:SATA Expressほか、SATA 9/10などもこのあたりに

ついでにビデオカードも紹介しておく。GeForce GTX 1080が発表された昨今では旧製品扱いされてしまっているが、今回はGeForce GTX GTX 980を搭載したASUSの20周年記念モデルをお借りした(Photo30~35)。

スペック的にはオーバークロックモデル(コアが1,216→1,317MHz。メモリは定格の7010MHz)であるが、今回の趣旨はビデオカードの性能ではなくCPUの性能評価だからこれでよしとした。

Photo30:箱からして普通と異なる

Photo31:箱をあけるとこんな感じ。ビニールに包まれているのは巨大マウスパッド

Photo32:カラーリングは渋めの金色で、派手さを抑えつつゴージャスである。ただし、デカい

Photo33:裏面はこんな具合に完全にシールドに覆われている

Photo34:パネル面はこんな具合にブラック貴重。DP×3、HDMI×1、DVI×1の構成

Photo35:補助電源は8pin×2。それとは別にMemory Defroster(液冷OCの歳にメモリ廻りの凍結を防止する回路)用に4pinコネクタが用意される

テスト環境

  機材は概ね説明した通りであるが、その他の環境は表1に示す通りある。今回はHaswell-EのCore i7-5960X、SkylakeのCore i7-6700KとBroadwell-EのCore i7-6950Xの3つのCPUの性能を比較という形で行った。

■表1 今回のテスト環境
CPU Intel Core i7-6950X
Intel Core i7-5960X
Intel Core i7-6700K
M/B MSI X99A GAMING PRO CARBON ASUS Z170-DELUXE
BIOS 1.0F BIOS 1702
メモリ Corsair CMK16GX4M2A2666C16×4
(DDR4-2666 CL16 8GB)
GPU ASUS GOLD20TH-GTX980TI-P-6G-GAMING
ドライバ GeForce Driver 365.10
Storage Intel SSD520 128GB(System)
HGST HDP725050GLA360 500GB(Data)
OS Windows 10 Version 1511(TH2) 64bit 日本語版
ソフトウェア Java SE 1.8.0_92 / JRE 25.92-b14
.NET 4.0.30319 (OS付属)
Office 2016 (Office 365 Business Premium)

ちなみにメモリであるが、今回はDDR4-2666対応(XMPプロファイル)のCorsair VENGEANCE LPX DDR4-2666を使った関係で、DDR4-2666のオーバークロック動作も可能になった。そこで比較はこの3種類のCPUに対して、DDR4-2133の定格動作のほかにDDR4-2666での動作の場合の性能も測定してみた。この関係でグラフ中の表記は

  • 5960X(2133) Core i7-5960X + DDR4-2133
  • 5960X(2666) Core i7-5960X + DDR4-2666
  • 6700K(2133) Core i7-6700K + DDR4-2133
  • 6700K(2666) Core i7-6700K + DDR4-2666
  • 6950X(2133) Core i7-6950X + DDR4-2133
  • 6950X(2666) Core i7-6950X + DDR4-2666

となっている。またいくつかのテスト(Sandra 2016, Ashes of the Singularity)では一部構成にデータの欠落があるが、それはその都度説明したい。