若い役者をキャスティング

ワークショップという試みの裏には、若い役者を多く使っていたという事情もある。ベテラン俳優が学生役をやることもある中で、メイン役者陣の平均年齢が19歳というのはなかなかの若さだ。主役・綾瀬千早役の広瀬すずは17歳、千早の幼馴染でイケメン秀才・真島太一役の野村周平は22歳、かるたの天才・綿谷新役の真剣佑(まっけんゆう)は19歳。キャスティング時はさらに若く、リアルに高校生の年齢だった。

ーー皆さんどんどんメジャーになられていますが、キャスティングの時点(2014年)では、本当に「若手」だったという印象があります。

北島:ここからスターになっていく人を出したい、とは思っていました。オリジナル作品とは違い、原作のパワーを借りれば、スターを送り出せるんじゃないかという気持ちもありました。そう考えた時に、何が必要かというと、一生懸命さしかない。ある種のドキュメンタリー性を帯びた作品にしなければと考えたんです。

例えば野村周平くん。彼はある意味下積みが長いんです。5番手、6番手の時もあって、同じフィールドで主演がスポットライトを浴びている姿を見る彼の状況を考えた時に、真島太一は彼しかなかった。

キャスティング発表時に「綿谷新と真島太一の配役が逆じゃないか」とも言われたんですが、彼の一生懸命さ、負けん気の強さ、野村周平のいいところがまんま真島太一だったんですよ。やっぱり描くべきは内面だと思っていたので、野村周平に賭けたいと思ったんです。

また、もし続編を作れたら、という気持ちはもちろんありました。その時のためにも、絶対に若い役者でなければいけないと思っていました。汗も、きれいなんですよ(笑)。実は、役者を選ぶ経緯や撮影の様子などを、すべてまとめているんです。DVD・BDが出るときに特典として入れたいと思っているので、ぜひ読んでください。