次の疑問は、パソコンに比べて内蔵ストレージが小さく、ファイルを保存しておけないのではないか、という点です。これについては、256GBのストレージしか持たないMacBookを試してみたときに、内蔵ストレージの大きさはさほど大きな問題ではないことに気づきました。
MacBookは、12インチのRetinaディスプレイを搭載する超薄型のMacです。薄さのため、ファンを排除し、あらゆるポート類を廃してUSB-Cを1ポート搭載するだけという、非常に潔いパソコンに仕上がっています。
MacBookをセットアップする際、MacBook Proの512GBのフラッシュストレージいっぱいに詰まっているファイルを移行することを諦めました。これには、2001年から育ててきたiTunesライブラリや、直近の写真、様々なファイルのアーカイブ、共有フォルダの中身が含まれます。
これらのファイルをコピーこそしなくとも、使える状態にする必要はありました。そこで、あらゆるファイルをクラウドに保存する三日三晩のアップロード作業を行いました。
例えば音楽のファイルは、Apple MusicやiTunes Matchを利用し、ファイルがMacBookにコピーされていなくても再生できるようにしました。また写真もiCloudフォトライブラリを利用し、クラウドに主ファイルを置いて、必要な写真のみ、その都度フル解像度をコピーする方式に変えました。
その他のファイルは、速度の面で有利なのと、Office 365 Soloに1TB分が利用できることから、MicrosoftのOneDriveにコピーし、普段必要なファイルだけを選択同期でMacBookに保存するようにしました。
これによって、半分の容量しかないMacBookのストレージで、余裕を持って作業環境を構築し直すことができたのです。
この経験は、多くのファイルを持ち運ばず、クラウドを介して使える状態にしておけば十分、というモバイル的な発想への理解を深めるには十分でした。
加えて、Apple MusicやiTunes Match、iCloudフォトライブラリを、OneDriveはもちろんiPadに対応させていたため、ただiPadからそれぞれのアカウントにログインするだけで、環境構築を済ませることができたのです。