iOSとOS Xとの融合については、実現しても、数年間は厳しい現実が待っているだろう。
今のところタッチパネルを搭載していないMacがiOSらしいインターフェイスに変更さられたら、使いにくくて仕方ないことは容易に想像できる。1日に10回以上は、タッチパネルではないMacの画面を触りながら操作しようとして、指紋だけを残して何も起きない、という経験をすることになる。まるで、タブレットを経験した子供が、薄型テレビにペタペタ触って操作するのと同じようなものだ。
また、アプリについても、特にビジネス現場でのプラットホームの有用性を左右する大手企業のサポートなしには、このOSがうまくいきそうもない。MicrosoftやAdobeが、タッチ操作をサポートするMac向けのアプリケーションを出すまでは、多くのユーザーは怖くて手が出せない代物になる。
もちろん、ここで操作性やアプリについて起こりうる事態は、最悪の移行方法の場合の想定だ。実際には、タッチ非対応のMacでもうまく動作するように設計されるだろうし、タッチ対応がなされていないアプリも、これまで通り利用できるようになるはずだ。過去にMacが経験してきたハード・ソフトのプラットホーム移行に比べれば、よりスムーズなものになるだろう。