解体作業が進む「虎ノ門10森ビル」。ここにビジネスタワーが着工される。奥に見えるのが虎ノ門ヒルズ

森ビルは1960年代から「ナンバービル」と呼ばれる戦略を採ってきた。これは創業者の森泰吉郎氏による施策で、数多くのオフィスビルを特定の地域に集中させ、高度経済成長によるオフィス需要に応えてきた。「虎ノ門00森ビル」などと名称をつけたため、ナンバービルというわけだ。

実はこのナンバービルが虎ノ門から神谷町にかけて数多く存在している。両ヒルズに挟まれたこの地域の価値が上がれば、高度経済成長を支えたこれらのナンバービルの再開発に着手しやすくなる。事実、今回発表されたタワーは、ナンバービルを解体した跡地に建設されるものだ。

ヒルズ開業で存在感を高める虎ノ門

虎ノ門は、北側の“行政の街”霞が関と南東側の“サラリーマンの街”新橋に挟まれ、いまいちその存在感を示せなかったイメージが強い。だが、2年前の虎ノ門ヒルズ開業以来、その注目度が一気に増している。辻社長は虎ノ門を指して「ここから、いつか東京が必ず世界一の都市になる」と強い想いを込めるが、これは、この地域が森ビルの“創業地”であるからにちがいない。

大江戸膨張! 東京再開発の現場

●日本橋から新産業を! 熱気あふれるベンチャー支援の現場
●虎ノ門再開発にみる“創業地”に込めた森ビルの強い想い
●33年越しの悲願達成! 再開発完了にわく新生“ニコタマ”の姿
●タワークレーンが消えない街 -“丸の内エリア”の再開発はなぜ終わらないのか【後編】
●タワークレーンが消えない街 -“丸の内エリア”の再開発はなぜ終わらないのか【前編】