前述の通り、今現在、Siriが利用できる情報は圧倒的に少ない。今現在、Apple Watchを含め、Siriに話しかけるチャンスは、手がふさがっているときにタイマーを起動したいとき、もしくは気が向いたときぐらいだ。音声入力はよく利用しているのだが……。

現時点で、この感覚を持つのは難しいかもしれないが、将来「iPhoneはSiriという人格を持っている」ととらえることができるようになるだろう。すべては、ユーザーである我々が、極力少ない操作で、スマートフォンやタブレットで行いたい作業を済ませられるようにすることがゴールだ。

コミュニケーションから予定、仕事の内容、買い物のメモ、読書、好きな音楽、最近見ているドラマなどを知っていて、必要なときに必要なアプリを差し出してくれる賢さを備えてくれるようになると、そのゴールに近づくだろうか。「メモ」がSiriに「資料」を提供するだけの役割を備えるだろうか。

メモは、Siriの貴重な情報源になるか?

現在の「メモ」には、メモ内に貼り付けられている写真、スケッチ、地図、Webサイトを分類して表示する機能が備わっている。例えばメモに加えた地図の場所と、メモの内容を見れば、その目的や分類を学習できる、というわけだ。ゆえに、「メモ」は日付の情報を扱えるようになるべきだ、と強く思っている。

iOSは2016年のリリースで、バージョン10を迎える。Siriの進化に対しては、より大きな期待を寄せているのは、スマートフォンの使い方、つきあい方をガラリと可能性を、未だに秘めていると考えているからだ。これが「メモ」梃入れの真相なのではないだろうか。 次期iOSに、ローマ数字の「X」を使うかどうかは微妙なところだ。OS Xと見分けがつきにくくなる。個人的には、同じ「X」同士で、統合してしまってもと思うのだが、Appleの役員は繰り返し、MacとiPhone/iPadの統合を否定しているのが現状だ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura