Appleは機械学習を取り入れて、iPhoneユーザーのことをより深く知り、最適な情報を提供できるようにしようと努めている。しかし同時にプライバシーポリシーとして、Appleの他のアプリあるいはサードパーティに情報を流用しないとも言っている。

いくら学習するとしても、1つのアプリの中での行動しか捕捉できないのであれば、その速度はユーザーの利用頻度に委ねられる。これでは、「Gmail」の中身をクロールして「Google Now」や「Google マップ」に情報を掲出できるGoogleに比べると、「機械による便利さ」の体験は非常に限られたものになってしまう。

WWDC15におけるiOS 9のプレゼンテーションで、たびたび掲出されたのがこのプライバシーポリシーに関するスライド。個人だけでなく、エンタープライズ市場に向けてのアピールでもある一方で、機械学習エンジンの情報不足を来す

iOSでは、Siriというアシスタントに、もう少し手広い仕事をさせたいと考えているはずだ。Siriは、プライバシー機能で利用を許可するかどうかはユーザー次第となっているが、iPhone全体において、アプリの頻度や現在位置、スケジュールなどを把握している存在だ。

そうした情報源の1つとして、「『メモ』の中身を活用する」というセキュリティオプションが用意されたらどうだろう。ユーザーがiPhone上で触れているより多くの情報を、Siriは「知識」として活用できるようにするのではないだろうか。

例えばWebページをクリップして、なんらかのメモを残していれば、その人がどんな興味で該当するWebサイトに触れたのかが分かるかもしれない。あるいはメモの中のチェックリストの進捗や、これに関連する場所の情報をつかめるかも知れない。純粋なメモからは、その人が記憶したい内容を見つけることができるだろう。