Swiftのオープンソース化は、AppleのデバイスやOS環境からSwiftが解放されることも意味する。すでにSwiftのUbuntuへの対応は済ませており、FreeBSDなど他のOS環境への移植も時間の問題だろう。Appleが行わなければならないのではなく、Apple内外の開発者が協力して、有機的にプロジェクトが進んでいくのだ。

また、Package Managerが公開されたことも、プログラミング言語の発展における重要な要素であるとの指摘も強い。Package Managerの役割は、簡単に言えば、自分で作ったコードをまとめて、他の人に使ってもらうことができるようにするためのものだ。Rubyやnode.jsなどのように、人気を維持するための条件とも言え、言語が様々な開発者によって、その用途を広げていく下地となる。

筆者もそろそろ、Swiftのオープンソース化の本気度に対して、「Appleらしからぬ」というフレーズを使うのは最後にしておこうと思う。今後の、Swiftは、近い将来、アプリ開発者以外の分野も含めて、最も人気のあるプログラミング言語へと成長する可能性が大いにある。

2015年12月3日は、そのきっかけとなった1日として、記憶しておくと良いだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura