Appleへの一般的なイメージは、デザインに優れた企業というだけでなく、秘密主義、閉鎖的といったどちらかというとネガティブなものもある。もちろんこの秘密主義が、新製品を発表する時の爆発的なプロモーションにつながるのだが、その一方で開発者にとっては、疑心暗鬼の原因にもなっていた。
しかしAppleはすでにオープンソースのコードを公開していた。例えばウェブブラウザSafariのレンダリングエンジンであるWebKitがそうで、Safariではない独自のウェブブラウザを開発したいという場合にも利用することができる。
またiTunesで利用しているApple Losslessコーデックや、MacやiOS向けアプリのコンパイルに利用しているLLVMもオープンソースになっている。Swiftのオープンソース化は、Appleの歴史の中で初めての経験ということではなかった。
新たなプログラミング言語に関する発表は、毎年サンフランシスコで開催される世界開発者会議「WWDC」の基調講演で行われ、それを皮切りに、多数のワークショップで情報提供される。このイベントへの参加は1,500ドル(約18万円)のチケットを購入しなければならないが、最近では、全てのセッションがビデオで公開されており、世界中の開発者へ開かれた情報となっている。
しかしながら、iOSやOS Xの新バージョンはWWDCで披露されるものの、新しいハードウェアに依存する機能などについては、WWDCの場では言及されない。そのため開発者は、新型iPhoneと新iOSが登場してから、アプリの急な改修に追われることになる。また、新機能はAppleの意向のみが反映されるものであった。
そのため、AppleがSwiftのオープンソース化を発表した際には、どこまでAppleがオープンソースに本気なのか、懐疑的な声も広がっていた。