そうした状況の中で、12月3日に、AppleはSwiftのオープンソース化を発表した。開発者からは、Appleの姿勢に対して、非常に高い評価を与えているという印象的を受ける。高い評価の理由の中で、GitHubで公開している点が挙がっているのは象徴的だ。

GitHubは、プログラマがコードを公開して共有することができるウェブサイトだ。GitHubは、Gitと呼ばれるバージョン管理システムを利用するためのハブを意味する。バージョン管理とは、改訂履歴の管理のことだ。ちなみにGitHubでは、ワープロ文書や表計算ファイルを含む、あらゆるファイルのバージョン管理を行うことができる。

12月18日にApple Store銀座で講演に立ったGitHubの共同創業者スコット・チャコン氏は、オープンソースプロジェクトのほとんどがGitHubで公開されていることを指摘した上で、AppleがGitHubでSwiftをオープンソースプロジェクトを進めることを歓迎していた。

同時に、オープンソース化から、半月の段階で、すでに500以上の変更依頼が寄せられており、すでにAppleは349の依頼を実際のSwift言語に反映させた。非常に活発に、外部の開発者との対話を行う姿勢を見せている点で、AppleのオープンソースによるSwiftの発展の本気度をうかがい知ることができる。

また、決定的なのは、Swift Programming Language EvolutionをGitHub上に公開していることだ。この文書は、Swiftが今後、どのような機能を搭載していくか、どんな改善を行っていくかを記した、いわば「将来のSwiftの設計図」のような存在だ。

これもGitHubで公開して、一般の開発者からの提案や修正依頼を募っている。直近のトピックは、2016年にも公開されるSwift 3.0にどのような機能を盛り込むかだ。Appleが開発者の意向をいかに取り込んでいきたいか、という意思が垣間見える。