前置きが長くなったが、それでは早速、外観面から見ていこう。
本体サイズは幅284×奥行き190.4×高さ16.4~19.1mmだ。11.6型ということもあり、フットプリント(接地面積)はかなりコンパクト。一般的な書類に使われるA4用紙のサイズ(幅297×奥行き211mm)よりもひと回り小さいと考えれば、サイズ感をイメージしやすいだろう。
カスタマイズモデルの重量はパーツ構成によって変わり、カタログ上では約920~940gとされている。Core i5-6200U+256GB SSD+8GBメモリを搭載した試用機では、実測で929gだった。有線LANやD-Sub搭載した、11.6型のモバイルPCとしては確かに十分軽い。一方で、VAIO Pro 11が770gであったことを考えると少々残念な気持ちもある。
ボディ素材には強化プラスチックが使用されており、表面には対傷性に優れボディの劣化を防ぐ効果のあるUVコーティングが施されている。アルミやマグネシウムほどの高い質感はないものの、手触りや見た目は悪くはない。というか、表面が非光沢の梨地加工のようになっており、この落ち着いた雰囲気の方を好む人もいるだろう。指紋や油脂による汚れが目立ちにくいのもうれしい。
液晶ディスプレイは11.6型で、解像度は1,920×1,080ドット。視野角が広く発色に優れるIPSパネルを採用しており、sRGBカバー率は97%と高い色域も実現している。
光の映り込みが少ないので非光沢のノングレア加工かと思われたが、液晶ディスプレイの表面をよく見てみると普通のノングレアとは雰囲気が違う。ノングレアの液晶ディスプレイはわずかに白味がかかっているように見えるのだが、VAIO S11のわずかなツヤが残っており、ハーフグレアのような印象だ。これはVAIO独自の低反射コーティングによるもので、映像の鮮明さを保ちながら光の映り込みを抑えるというメリットがある。
キーボードはテンキーなしの87キー構成で、標準的な日本語配列。キーピッチは実測で約17mmとやや小ぶりだったが、11.6型というサイズを考えればやむを得ないだろう。多少きゅうくつな感じはあるが、慣れればスムーズにタイプできそうだ。
キーストロークは意外に深く、1.2mm前後だ。コンパクトなPCではストロークが浅くタイプ感があまりよくないものもあるが、VAIO S11は予想より良好でサクサクと入力できた。キートップには専用に開発したフッ素含有UV硬化性樹脂が使われており、指紋や油脂による汚れが目立ちにくい。今回の検証ではかなり使い込んだため皮脂汚れがそれなりに付いたのだが、軽く拭き取るだけで目立たなくなった。