VAIOから新たに発表された「VAIO S11」は、コンパクトな11.6型のモバイルノートPCだ。随所に"VAIOらしいこだわり"が詰まったモデルに仕上がったことに加え、microSIMスロットを搭載したSIMフリーモデルでは、下り最大150MbpsのLTE通信に対応している。今回は発売前の試用機にて、実際の使用感や各種ベンチマークの結果をお届けしよう。
■主な仕様 [製品名] VAIO S11(VAIO OWNER MADEモデル) [CPU] Core i7-6500U(2.50GHz)/Core i5-6200U(2.30GHz)/Core i3-6100U(2.30GHz) [メモリ] 4GB/8GB [ストレージ] 512GB SSD(PCI Express接続)/256GB SSD(PCI Express接続)/128GB SSD(SATA接続) [カードスロット] SDXC対応カードスロット [バッテリ駆動時間] 約15時間(JEITA 2.0) [ディスプレイ] 11.6型ワイド液晶(1,920×1,080ドット) [OS] Windows 10 Home/Pro(64bit) [ソニーストア価格] 114,800円(最小構成時・LTE非対応)から
VAIOが新たな11.6型モデルを投入した理由
VAIOから新しい11.6型ノートPCが出ると聞いて、筆者はてっきり、現行モデルの「VAIO Pro 13 |mk2」が11型になった「VAIO Pro 11 | mk2」が発売されると思っていた。だが届いた実機を見てみると、どうも雰囲気が違っている。以前の「VAIO Pro 11」やVAIO Pro 13 |mk2はスリムかつシャープなシルエットだったのだが、到着した製品はこれらのモデルよりもやや無骨な印象を受けた。
モデル名は「VAIO S11」。まさかの「VAIO S」シリーズの復活だ。ちなみにソニー時代には13.3型の「VAIO Sシリーズ13」と15.5型の「VAIO Sシリーズ15」が発売されている。高いパフォーマンスとスタイリッシュなボディで人気を集めたモデルだ。
しかし、ソニー時代の「VAIO Sシリーズ」は最後のモデルが発売されてから3年以上が経過しており、「VAIO S11」はその正統進化モデルではないだろう。そこで時間軸で考えて、2014年7月に発売されたVAIO Pro 11(VJP1111シリーズ)と、VAIO S11のスペックを比較してみたい。参考までに、VAIO Pro 13 |mk2のスペックも併記した。
VAIO S11はSkylakeこと第6世代のCore iシリーズやUSB 3.1 type Cを搭載するなど、PCとしての基本スペック的には最新のトレンドを取り入れた構成になっている。SIMスロットを載せたSIMフリーモデルでは、下り最大150MbpsのLTE通信に対応している点も大きなポイントだ。
だがその一方で、重量が増加していたり、映像出力端子がHDMI端子からビジネス需要のあるアナログRGB端子(D-Sub15ピン)に変わっているなどの違いも見受けられる。これは明らかに、VAIO Proシリーズとは違う思想の元に設計されたモデルだ。印象としては、小さいVAIO Pro 13 | mk2なのだが、単に小型化したものでもない。なぜ、VAIOは新しい11.6型のクラムシェルノートPCを創りだしたのだろうか。
これはあくまでも筆者の推論なのだが、その答えは、VAIO Pro 13 | mk2との違いを明確化にするためではないだろうか。日本のPC市場では、11.6型よりも13.3型のほうが人気が高い。性能的に違いがなければ、よっぽどの理由がない限り13.3型のほうが売れるはずだ。そこでVAIOは単に小型化したVAIO Pro 11 | mk2をリリースするのではなく、VAIO S11こそをより積極的に使う理由として、LTE通信やUSB 3.1 type-Cを搭載し、世に送り出したのではないかと筆者は考えている。