米国において、一般的にクレジットカードは「4パーティーモデル」と呼ばれる構造で説明される。利用者・加盟店舗・発行銀行・決済銀行の4つだ。お金の流れなどは図を参照して欲しい。
基本的なカードの仕組みを説明すると、発行銀行がクレジットカードを利用者に発行し、利用者は加盟店でそのカードを使う。決済されると、そのデータが決済銀行へ流れ、店舗に決済銀行がお金を支払う。決済銀行は発行銀行に対して利用者の決済データを送り、発行銀行が決済銀行にお金を支払う。発行銀行は利用者に毎月の利用金額を請求し、利用者は発行銀行に支払いをする。
こうした4パーティーモデルの真ん中に入り込んだ、というのがApple Payの姿である。
Apple Payなどのモバイル決済サービスには、カードブランドが発行する「トークン」をユーザーの端末に収めることで、店頭で利用できるようになる。iPhoneでApple Payを設定すると、カード会社にトークンのリクエストが送られる。発行銀行は、これをマスターカードやビザといったブランドへリクエストし、Appleを介して利用者の端末に設定される。
米国外でアメリカンエクスプレスのサービスインが早いのは、カードを発行する発行銀行、カードブランド、そして決済銀行を、アメリカンエクスプレスが1社で保有しているからだ。ブランドを含めた3社を集めなくても、アメリカンエクスプレスさえ対応すればサービスインできる。そこで、Appleはアメリカンエクスプレスと、Apple Payの普及を進めているという構図が見えてくる。