――まさに集大成となる今回の『DEAD OR ALIVE』と『ホライズン』ですが、制作時のプレッシャーはかなり大きかったのではないでしょうか?
atsuko「プロデューサー陣もそう思っていたようで、3年くらい前から、『EXODUSやりますから』って言われていました。時期までは決まっていなかったので、まだ先の話だと思いつつも、それからの3年は、私たちの心の片隅に、『ファフナーあるぞ、ファフナーあるぞ』っていうのをずっと植えつけられていた気がします」
――逆にそれはそれでプレッシャーのような気もしますが
atsuko「その期間、『K』や『シドニアの騎士』の曲を作っていたんですけど、そのときも心の片隅に『ファフナーあるぞ、ファフナーあるぞ』って(笑)。そのおかげで、実際に決まったときには、すでに覚悟ができあがっていました」
KATSU「掛け合いの部分とか"痛い痛い"の部分は、その期間にストックされていたメロディーを使っています。特にこれを使うぞって決めていたわけではなくて、とにかくいろいろなメロディーをストックしていたという感じです。『シドニアの騎士』の曲を作りながらも、これはファフナーっぽいなと思ったら、没にして、ストックに入れる。Kを作りながらも、これはファフナーだなと思ったら、ストックに入れる。常に自分の中に、対ファフナー用フォルダみたいなものがありました」
――ちなみにこれはファフナーだと思う基準はどのようなものですか?
KATSU「あらためて聞かれると難しいのですが、『シドニアの騎士』の場合は、インパクトを残すというところに重きを置いていたり、『K』の場合は、スタイリッシュなカッコよさというところにこだわったり、作品ごとにそういったテーマのようなものがあるんですけど、ファフナーに関しては、まんま出すしかない。考えて考えて作るものではなく、これだと思ったものがファフナーなんです。明確な何かがあるわけではなく、これはファフナーというのが感覚的にわかる」
atsuko「私が思うに、ファフナーで出してくるアレンジは、KATSUが若い頃に聴いていたメタルやロックのニュアンスが入る場面が多い気がします」
KATSU「一番やりたいことをやっているだけかも(笑)」
atsuko「近くで見ていると、自分を形成してきた音楽の要素を詰め込んでいる印象があります」
KATSU「自信があるところで勝負したいのかもしれません」
――atsukoさんも同じような感じでしょうか?
atsuko「私の場合、それはないです」
KATSU「atsukoは、作品ひとつひとつに対して非常にフラットですね」
atsuko「もともと、すごく作詞がしたかったわけではなく、angelaとして2人しかいなくて、KATSUが歌詞を書かないので私が書くしかない。頼めるような友達もいないし、プロに頼むお金もない。自分が書くしかないという流れで20年以上やっているんですけど、作品のタイアップがあって書くときは、その作品にはどういう言葉があっていて、このメロディーに対してはどういう言葉が一番耳ざわりが良い、もしくは耳ざわりは悪いけどインパクトがあるか、みたいなことを考えています」
――作品ごとに新たな目線で言葉を紡ぎ出すみたいな感じでしょうか
atsuko「ただ、ファフナーの場合、根底のテーマとして『生きる』みたいな部分は変わらずにあって、それがどれくらいのギリギリ感なのか? 『Shangri-La』の頃から、同じ単語、同じフレーズを何度か使ってはいるんですけど、昔はそれにも抵抗がありました。でも今回はそういうこともなく、『ファフナーはこれなんです』というものが出せたのではないかと思っています。自分で言うのもなんですし、今さらなんですけど、ファフナーの言葉を綴る自信がちょっとついた感じです(笑)」
――本当に今さらですね(笑)
atsuko「やっとみんなに認めてもらえたのではないかと思います(笑)。主題歌は、けっこう短いスパンで変わっていくじゃないですか。そうなるとやはり最初のもののインパクトが一番強くて、3カ月おきに変わっていくと、前のほうが良かったって言われてしまう」