――挿入歌の話が出ましたが、挿入歌のハマリ方がまた格別だなと思いながら放送を観ていました

KATSU「挿入歌の場合は、絵コンテを見ながら作れるんです。OP/EDは曲を聴いて、絵コンテが切られるんですけど、挿入歌は、ちゃんと絵コンテがあって、ここから始まって、ここで終わるみたいなリクエストをいただいて作る。だから、挿入歌のほうが作りやすいし、得意なのは挿入歌のほうですね。主題歌は看板になって背負っていくというプレッシャーがありますし、しかも今回は続編の続編の続編みたいな感じで、本当に正解が見えないまま作ることになった。だから、正解を探すのではなく、導き出されるところに向かっていった結果が今回の『DEAD OR ALIVE』であり、『ホライズン』になっています」

――『DEAD OR ALIVE』は集大成と仰っていましたが、一方の締めくくりとでもいうべきエンディング主題歌の「ホライズン」は、どういったコンセプトで作られたのですか?

atsuko「ファフナーのエンディングといえばバラードなんですよ、今までずっと。なので、どんな曲がいいですかと聞けば、たぶんバラードと言われそうな気がしたので、そのあたりは濁して聞かないようにして制作に入りました」

――バラードを作りたくなかったのですか?

atsuko「作りたくなかったのではなくて、またこれか、みたいなのが嫌だったんです。もちろん予定調和の美しさというものもありますし、実際に自分の中のファフナーがあるべき姿もバラードなんですけど、そうじゃないファフナーも見てみたいという、一個人の勝手な願望が強くなって、まるでオープニングのようなエンディングを書いてみました(笑)」

――私も最初に聞いたとき、オープニング? って思いました

atsuko「そう思いますよね? でもこの『ホライズン』には20秒のイントロがあって、そこで総士君がポエムを読めるようにしてあるんです。だからこれはエンディングなんです(笑)」

――なるほど(笑)

KATSU「ちゃんと総士君のモノローグの時間を全部計ったんです。そうしたら平均20秒だったので、20秒空けておけば、そこにポエムを入れてくれるだろうと思い、TVサイズは90秒なんですけど、それとは別にさらに20秒のイントロがあるバージョンを用意しました」

atsuko「だからこれはエンディングなんです(笑)」

KATSU「何も言わずに(音響監督の)三間さんに渡したら、ちゃんと理解してくれて、それを18話で使ってくれたのがすごくうれしかったです」

――まさに以心伝心という感じですね

KATSU「あと、17話のカノンの曲、『愛すること』を作ることも決まっていて、それはバラードでカノンを送り出したいというリクエストがあったので、バラードにバラードよりも、最後のファフナーは違う形で終わらせたいという意味で『ホライズン』はバラードじゃなくてよかったと思います」

――「ホライズン」の歌詞はどのようなテーマで書かれたのですか?

atsuko「シナリオを読んでいて思ったんですけど、総士君がすごく哲学的なことを喋るんですよ。無と存在の狭間にある地平線がどうのこうの、みたいな。シナリオで読んだとき、『やばい、わかんない』って思っていたんですけど、総士君が一騎君に『わかるか』って聞いたら、『ぜんぜん』って(笑)。あ、わからなくてもいいんだって安心したんですけど、そのセリフの"地平線"というワードがすごく引っかかって、絶対にその"地平線"という言葉を使いたいと思いました。だから『ホライズン』。地平線も水平線も、目にはラインとして見えるんですけど、その場所に行くと、結局何もなくて、そこからまた向こうの景色が広がっている。線はあるのに、境界線がどちらかわからない。それを理解するために、さらに次の地平線へ向かう……そんな感覚を歌詞にしたいなと」

KATSU「曲と同時に『ホライズン』という言葉も決まっていたみたいで、atsukoは仮歌を歌うとき、だいたい"ナ"とか"ラ"で歌うんですよ、鼻歌みたいに。でも、この曲に関しては、最初から『ホライズン』のところだけ言葉になっていたので、これは入れたいんだなって思いました」

atsuko「総士君の"地平線"という言葉からインスパイアを受けて作った曲なので、そのワードがないと意味がないんです。とにかく自分にとってすごくインパクトが強い言葉でした」