オーバークロック性能を実際にテスト

では、実際に動かして「GA-Z170X-SOC Force」のポテンシャルを検証してみよう。

近年のOC向けモデルはOC時の利便性を上げるための実装や、ハイスコアを出すためのメモリ回りのチューニングで、スタンダードモデルやゲーミングモデルとの差別化を図っている場合が多い。極冷になれば話は別だが、単にCPUのクロックを引き上げるだけなら、OC向けでなくともある程度のグレードのマザーボードで簡単に実現できるようになったからだ。

また、ベンチマークの世界ではメモリ回りのパフォーマンスがCPUクロック以上に重要になる場合があり、CPUクロックが大幅に低い相手に競り負けてしまうことさえある。クロックが上がっただけでは勝てないからこそ、OC向けモデルはメモリのOCに対して力を入れた製品が多い。

過去にGIGABYTEが発売した「GA-Z97X-SOC Force LN2」はその極地とも言える製品で、メモリスロットの数やCPUクーラーのマウントホールを削減してまで信号線を短くすることで、メモリのOC性能を高めていたのが印象的だった。

今回のテストでは、OCモデルならではのメモリOC耐性を試すために、メモリの設定でスコアに大きな差が出てしまうIntel Xtreme Tuning Utility(XTU)のベンチマーク機能を使用した。メモリ設定でどれ程スコア差が出るのかをチェックしていこう。

CPUクロックはコア/リングバスともに4.5GHzに設定。使用したメモリは、CORSAIRのDOMINATOR PLATINUM CMD16GX4M4B3200C16で、4枚の内の2枚のみを使用した。

XMP設定時のXTUのスコア

XMP設定時のXTUのスコアは1384 Marksを記録。メモリクロックはDDR4-3200で、アクセスタイミングはCL16-18-18-36という設定だ。これはXMP設定を適用するだけで、誰でも簡単にできる設定だ。

このスコアを基準として、ここからは手動でアクセスタイミングを設定してスコアの伸びを見てみたい。「GA-Z170X-SOC Force」がどれ程メモリの持てるパフォーマンスを引き出せるかに注目だ。

DDR4-3600にメモリをOCした時のXTUのスコア

メモリをOCするとCPUは同クロックながら、XTUのスコアは約12%向上して1557 Marksにまで達した。メモリクロックがDDR4-3600まで伸びているのに、アクセスタイミングはXMP設定時よりもタイトなCL15-18-18-28で動作している。

同じことをスタンダードモデルやゲーミングモデルでやろうとしても難しいだろう。なぜならば、OC向けモデルとはUEFIのチューニングの度合いや基板の設計が全く違うからだ。今回はDDR4-3200のメモリを使ったので、ワンランク伸びてDDR4-3333で動けば御の字と思っていたのだが、3ランク上のDDR4-3600で動いたのには驚いた。

イベントでは6.1GHzでCINEBENCH R15を完走

さて、2015年10月18日に秋葉原のツクモパソコン本店4Fの特設会場で、GIGABYTEとリンクスインターナショナルが「GA-Z170X-SOC Force」の発売を記念して極冷OCイベントを開催した。この様子はすでにレポートでお伝えしているが、筆者も出演して極冷OCのデモを行った。レビュー中という好タイミングでのイベント出演となったので、その時の様子も合わせてお届けしたい。

DDR4-3600にメモリをOCした時のXTUのスコア

イベントでは6.1GHzでCINEBENCH R15を完走させることに成功。CPU電圧を1.88Vに設定した超高電圧状態でも「GA-Z170X-SOC Force」は安定していて、2回行われたセッションの両方で6.1GHzを達成できた。2回目のセッションの後半では、一般の参加者が極冷OCに挑戦。極冷未経験ながら、オンボードボタンの「OC TOUCH」を駆使して、6.1GHzでのCINEBENCH R15の完走を成功させた。

極冷OCでもびくともしない高い耐久性と、扱いやすい機能性が「GA-Z170X-SOC Force」の魅力と言える。実売価格が6万円台半ばなのでなかなか手を出しにくい部分はあると思うが、ハイスコアを狙うエキスパートはもちろん、これからOCのスキルを磨きたいルーキーまで、手にとっても試してほしい1枚だ。