「ネットでの心配事」に関する日経リサーチの調査によると、日本のユーザーはウイルス被害や個人情報漏えいに関して7割以上のユーザーが不安を感じているという。
川合氏によると、有償のウイルス対策ソフトを使うユーザーを対象にした場合でも同じような傾向が見られるといい、2013年に総務省が行った「インターネット利用への不安感」に関する調査研究によると、日本ではインターネット利用時にわずか3.5%の人だけが「全く不安を感じない」と回答している。これは、米国の39.8%、英国の41.2%、フランスの17.6%、韓国の7%、シンガポールの41.7%という値と比べ「極端に低い」(川合氏)。「日本では、約97%の人が何らかの不安を抱えながら、インターネットをしていることになる」として、一般的なネットユーザーには漠然とした不安があるとの考えを示した。
しかし一方で、一般ユーザーは、対策側のセキュリティソフトに関し、「セキュリティソフトが何をやっているのかよくわからない」と感じていると指摘。「重くなる」「わからない」「煩わしい」「高い」という4つのポイントに加え、"自分は大丈夫"という根拠の無い自信もあるとする。川合氏はこの自信が特に危ないとし、「検知しないということは、感染していないとイコールではない。巧妙に検知ネットワークをすり抜けているだけ」と警鐘を鳴らす。
日本のユーザー調査では、ウイルスや個人情報漏えい、詐欺・偽サイトによる金銭被害、アカウント乗っ取りに半数以上の人が不安を持っている |
一方でセキュリティソフトに関しては、中身がわからず、煩わしいというイメージが持たれている |
一般ユーザーがセキュリティ製品に感じる4つのポイントのうち、「重い」に関しては、自社を含めて日本で販売されているセキュリティソフトはおおむね5秒~6秒と、「動作はけして重くはない」と説明。「煩わしい」に関しては、ブラウジング時に裏側でURLやサーバが安全かチェック、ファイルダウンロード時の配布元チェックやリアルタイムスキャンなど、実際にどういうチェックをしているかを例示した。「ユーザーが何かソフトを起動する時、裏ではさまざまな作業を行っている。これくらいしないと、インシデントに遭遇してしまう」(川合氏)。
また、「高い」に関しては、先のような動作や、同社3,000人の社員および、このうち開発に携わる1,000人のセキュリティリサーチャーによる調査、研究によって生み出された対応データや成果物を、製品価格をベースにした日当換算で例示。「Amazonで12,000円くらいで売っているパッケージ3年版を1台で使った場合、日当11.8円になる」として、価格は決して高くないと主張した。