新搭載した積層型CMOSセンサーの描写をチェック
続いて、DSC-RX100M4による撮影画像を見ていこう。1枚目は絞りをF5.6にセットし、近景から遠景までの全域にピントが合ったパンフォーカス状態で写したもの。ズームは焦点距離24mm相当になるワイド端を使用。観覧車の全体を画面に収めてスケール感を表現しつつ、手前に草木を写し込んで奥行きを与えている。
次は、70mm相当になるテレ端までズームアップしたもの。上のカットと同じ場所から撮影したが、こちらは観覧車を部分的に切り取ることで、放射状に広がるフォルムの美しさと力強さを強調した。画質については、クリアな発色と細部まできっちりと再現する解像性能を確認できる。
最短撮影距離はワイド端でレンズ先端から5cm、テレ端で30cmに対応する。マクロモードの切り換えはなく、通常モードのままで最短距離まで近寄れるのが便利だ。下の写真はズームのテレ端を使用し、35cm程度の距離から写したもの。
強い日差しが作る影とウロコ張り舗装の模様に着目してハイアングルから撮影した。液晶モニターが見えにくくなる明るい屋外では、標準装備のEVFが活躍してくれる。
内蔵ストロボをオンにした上で、市販のスレーブ式外部ストロボを画面左から照射して撮影した。撮影場所は屋外の明るい花壇。シャッター速度を1/1,000秒の高速に設定することで、ストロボ光が届かない背景部分を暗く落とし、花の鮮やかさを際立たせている。
展示された車の一部分を切り取る感覚で捉えたもの。こうしたローポジションでの撮影では、チルト可動式の液晶モニターが役に立つ。可動範囲は上に最大180度、下に最大45度となっている。
同じく展示車をローポジションで撮影。シャッター速度は1/15秒の低速になったが、手ブレせずにシャープに写すことができた。手ブレ補正の効果はもちろんだが、本機はそもそもレンズシャッターなのでブレには強い。
絞りを開放値のF1.8に設定。ピントを合わせたエンブレムの文字部分はくっきりと写り、そこから前後に向かってソフトなボケが生じた。焦点距離が短いので大きなボケは期待できないが、こうした近接撮影の場合はそれなりのボケ表現が楽しめる。
同じく開放値を使用し、テレ端までズームアップして撮影。画面を斜めに傾けて構図に動きを与えつつ、手前と奥にボケが写り込むアングルを選んで立体感を強調した。
最後に、感度別の写りを見てみよう。最低感度のISO80は拡張設定となるため、階調性はやや狭く、ハイライト部は白トビ気味になっている。最も写りがいいのはベース感度のISO125だ。そこから高感度になるほど暗部にざらつきが生じる。とはいえISO1600くらいまでは特にノイズが汚いという印象はなく、実用的といっていい。
今回の試用では、薄型軽量ボディに高機能を凝縮したカメラとして、スキの少ない完成度の高さを感じることができた。既存モデルDSC-RX100M3のレビューでは、課題としてAFスピードを挙げたが、その点もきっちりと改良されている。ただ依然としてタッチパネルに非対応であることは少々もの足りなく思う。
DSC-RX100M4は、気軽に持ち運びながら高精細な動画と静止画が楽しめるカメラだ。10万円を超える実売価格は手ごろとはいえないが、旅行や家族のスナップ映像を4Kクオリティで残したい人や、コンパクトデジカメでもAFスピードに妥協しなくない人であれば、値段に見合った価値を実感できるだろう。