それでも、16GBは……

ストレージ対策のためのクラウド利用のためには、月額料金がかかる。iCloudの追加ストレージ(おそらく多くのユーザーは月額400円で200GBのプランで十分)、あるいはApple Musicの月額料金(個人プランで月額980円)を利用する必要がある。

この2つの組み合わせだと、月額1,380円ずつかかる。これらのサービスを利用するのと、より大きな容量のiPhoneを利用するのでは、どちらが得なのだろうか。

例えば2年に1度iPhoneを買い換えるとしたら、2つのサービスを合わせて33,120円(税抜)が必要となる。この金額を払うならば、16GBのiPhoneを選ぶ代わりに、最大容量である128GBのiPhoneを選んでもおつりがくる。

もちろん単純な比較はできない。Apple Musicには、最新の音楽から過去の楽曲までを好きなだけ聴ける権利が含まれており、毎月1枚以上アルバムを買っていた人なら、そのコストですでにApple Music分の月額料金の方が安くなるからだ。しかし、写真と音楽の問題を解決したから、16GBで足りるかといわれると、これもまた難しいだろう。

やはりAppleは、最新機種に関しては、そろそろ16GBモデルをラインアップから外し、せめて倍の32GBから揃えるようにした方が良いのではないだろうか。少なくとも、ハイエンドスマートフォンのトップブランドなのだから、最も安いモデルからして、快適に利用できるものを揃えておくべきだと思う。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura