昼過ぎにフランクフルト国際空港を経ったブリティッシュエアウェイズ機は、その50分後にロンドン・ヒースロー空港(イギリス)へと舞い降りた。陸上滞在時間はおよそ24時間。そこには移動時間と睡眠時間も含まれることを考えると、一体何ができるのやら。ただでさえ不安な我々を、さらなるトラブルが見舞う!
荷物がない!?
毎度の入国審査はまったくもってストレスフルだ。中でもヒースロー空港は特にひどい。待機列に多くの人があふれているにも関わらず、開いている審査窓口はわずか3つ。結局30分以上も待たされ、ようやく入国審査を通過してバゲージクレーム(手荷物受取レーン)へ行ってみると、ない! どうやら我々が列に並んでいる間に受け取り可能時間が過ぎてしまい、荷物(スーツケース)はすでに片付けられてしまったようだ……。
とりあえず、バゲージインフォメーションに行き、荷物を受け取れないか聞いてみる。窓口の男性に荷物の受け取り半券と搭乗券を見せ、問い合わせてもらうと、予想外の答えが返ってきた。
「あなた方の荷物は、現在、ターミナル3にあり、明日のニューヨーク行きの便に積み込まれるのを待っていますよ」
そうか、それでわかったよ。フランクフルト空港でチェックインしたとき、なぜジョン・F・ケネディ国際空港行きのチケットも一緒に渡されたのか。
編集H氏「もしかして、このチケット、ロンドンはトランジット扱いだったってことですか!?」
おそらくそうだと思う。きっと、フランクフルトの窓口で「ロンドンはトランジットですね」とか、「ロンドンでは荷物が受け取れませんがオーケイ?」とか聞かれたのだ。でも、我々はテキトーにイエースイエースと答えていたために、こうなった。英語スペックが低いと、やっぱり大事なところでミスするなぁ。
中年二人の後悔と落胆をよそに、窓口の男性が続ける。
「で、どうします? ターミナル3(明日搭乗予定のアメリカン航空機が離発着するターミナル)まで行けば、荷物を受け取れるかもしれません。でも、ここはターミナル5ですから、地下鉄で1駅移動する必要がありますが」
ヒースロー空港はそれほど広いのだ。しかし、そんなところまで荷物を取りに行っていたら、ただでさえ貴重な時間を大きくロスしてしまう。しばらく考え込んでいたH氏だったが、やがて何か決心をしたかのような表情で振り返った。
H氏「青木さん、荷物の中に、何か必要なものが入っていますか?」
入っているのは着替えと洗面道具。あと、BASELWORLDの取材資料が一式。カメラとPCは、持ち込み荷物で持っていますから。
H氏「今夜、ホテルで(バーゼル取材の)原稿なんて書きます?」
いいえ、書きません(キッパリ)。というか、原稿を書いている暇なんてないでしょ。何かネタを探さなくちゃだし。
H氏「じゃあ、(スーツケースは)要らないですよね!」
ええ、要りません! ということで、我々はスーツケースの受け取りをあっさり諦めて、ロンドンのホテルへと向かったのだった。結果から言えば、この判断は正しかったと思う。列車の中や地下鉄乗り換え時、ホテルまでの道で巨大なスーツケースを引きずり、余分な体力ロスを招かずに済んだのだから。
ロンドン市街へは地下鉄を乗り継いでいく手もあるが、今回は時間節約のために「ヒースローエクスプレス」を利用。空港からロンドン市街中心エリア(パディントン駅)までわずか20分で結ぶが、2等客車でも16.5ポンド(約3,168円。1ポンド=192円で計算。2015年7月現在)と、料金は結構高い。ちなみに、地下鉄だと空港からピカデリーサーカス駅(こちらもロンドン市街中心エリア。ちょっとテムズ川寄り)まで約50分。ただし、料金は4ポンド(日本円で約768円)とお得だ。