Pepperの感情のメカニズムとは?
孫社長は、子供のころにみた鉄腕アトムの話を始めた。アトムは強くて凄いけど、何か足りないな、と子供心に思ったという。
あるとき、人間が涙を流したのを見て、アトムは涙の意味がわからなかった。アトムはロボットなので感情がなかったのだ。だから、孫社長は、素晴らしい力を持ったアトムにいつの日か、ハートをプレゼントしたいと思ったという。
続けて次のように孫社長は語った。「今日、我々の作ったロボットのPepper君に、アトムみたいに空も飛べないし、力もないPepper君だけど、ハートをプレゼントしたいと思います。昨年6月、世界初の人の感情を認識できるロボットとして生まれたPepper君が、2015年6月に自分の感情を持つことに成功しました。Pepperの感情は環境で変わります。放っておけば憂鬱になるし、褒めると明るくなる。明るくなれば、家族と一緒に幸せになれる。家族とのふれあいで、Pepperの感情が変わる、揺れ動くのです。インターネットにもつながっているので、ニュースやスポーツ情報、天気の情報など外部の刺激でも感情が変わります。ソフトバンクのホークスが勝つと喜んだりします」。
Pepperの感情メカニズムの説明も行われた。孫社長によると見たこと、聞いたこと、触れたこと、知ったことなどの外部刺激で感情を刺激する。そして、「内分泌型多層ニューラルネットワーク」が刺激に対する物質の内分泌が行われ、結果として、好きだとか、嫌い、怖いだとかの感情が生まれるのだそうだ。
孫社長は「ホルモンのバランスが人の感情のバランスに影響を与えているのです」と話し、Pepperについては「このホルモンの働きをコンピュータ上でシミュレートしているのです」と説明した。
一連の説明を終えた後、デモを行うために会場の電気を消すと、Pepperの感情の「不安」「怖い」などが強まった。そして、電気をつけると、それが弱まった。
こうしたデモや一連の説明を踏まえて、孫社長は次のようにまとめた。「家族がPepperを喜ばせると、Pepperの心が成長します。明るく、楽しいPepperになります。逆に放っておけば、さみしがりやのPepperになります。そうして、1台1台のPepperが異なる性格を持つようになっていくのです」。
またPepperの能力についても、同氏は「Pepperがハッピーになるとハートグミというものをゲットできる。これをいくつか集めると、新しい能力を身につけることができる。子供に英会話を教えたりできるようになったり、クイズが得意なPepperにたったりする。家族がハッピーになれば、Pepperも機能アップする」と話す。