Siriが賢くなって、iPhoneの使い方が変わりそうな予感

iOS 9については、バッテリー動作時間の延長、セキュリティの強化といった基礎部分の改善をまず紹介し、「インテリジェンス」「アプリ」「iPad」の順番でデモを交えながら新機能を説明した。

インテリジェンスというのは、SiriやSpotlightの進化である。Siriは今でも"将来の機能"とみなされているところがあるが、Federighi氏によると、Siriは現在、1週間に約10億リクエストを受けるぐらいに利用が増加しており、「目立たないが、とても人気の高い機能になっている」という。

iOS 9でSiriはユーザーのコンテキストを理解し、場所や時間、iOSデバイスの使用状況などをもとに、ユーザーが次に取るであろう行動を予測してユーザーをアシストする。たとえば、いつもジョギングしている時間帯にジョギングする場所でヘッドホンを挿したら、いつも使っているワークアウトアプリが準備される。

連絡先に登録していないため名前が表示されないが、見覚えのある番号の電話がかかってきた。そんな時にSiriはメールをチェックして、該当する番号が見つかったら「たぶん、John Appleseedです」というように表示する

「車に乗った時に、ルーフからコーヒーを下ろすように思い出させて」とSiriに頼むことも可能。米国では子どもをチャイルドシートに乗せたりしている間などに、車のルーフの上にコーヒーを置いたことを忘れて発進、そのまま走っている人が多いというのが鉄板のあるあるネタ

インテリジェントなアシスタントは検索にも及ぶが、注目したいのはAppleが検索APIを提供することだ。たとえば、Spotlightで「potato」と検索すると、対応する「Yummly」アプリから引き出したユーザーが好みそうなレシピも結果に表示される。レシピの1つを選ぶと検索結果からアプリに切り替わる。

これまでのようにYummlyをアプリを立ち上げて、アプリ内でレシピを検索して探す必要はない。Yummlyのようにディープリンクをサポートするアプリが増えたら、アプリのコンテンツにアクセスするためにアプリを探してタップするのではなく、SpotlightまたはSiriにお任せという使い方が広まりそうだ。

「Maui」と検索、Airbnbからのコンテンツも結果に表示され、結果をタップするとAirbnbアプリのコンテンツに直接アクセス可能。さらに左上のボタンから検索に戻れる

機械学習やプロアクティブなデジタルアシスタントは、5月末に開催されたGoogle I/Oでも話題になったが、Appleは個人情報に結びつかないように運用し、サードパーティとデータを共有することはなく、ユーザー自身がコントロールできると強くアピールした

標準アプリで紹介されたのは「メモ」「マップ」「Apple Pay」、新アプリ「News」など。昨年のWWDCではMac用の「写真」アプリのプレビューが行われたが、ここ数年のAppleは、写真、メモ、マップ、メール、メッセージのように、iOSとOS Xで共通し、iCloudで連携するアプリの強化に力を注いでいる。

ニュースやブログの記事をアグリーゲートし、読みやすいフォーマットで表示する「News」

メモ・アプリの手書きメモ機能

iPadではマルチタスク機能が強化される。「Slide Over」「Split View」「Picture in Picture」という3つの方法で、2つのアプリを同時に表示して使用できる。

使用しているアプリの上に2つめのアプリがスライドして現れる「Slide Over」

1つの画面を2つのアプリで分割利用する「Split View」

ビデオ再生やFacetimeのビデオ通話などを表示しておける「Picture in Picture」

iOS 9は引き続きiPhone 4SやiPad miniもサポートするが、Slide OverとPicture in Pictureは対応機種がiPad Air/Air 2、iPad mini 2/mini 3に、Split ViewはiPad Air 2に限られる。iPhoneに関しては新興市場でユーザーの多い古い機種のサポートに努めているが、iPadについては新しい機種への買い替えを促している印象だ。iPadではよりPCに近い生産性や性能を武器にしようとしているのかもしれない。そうであるなら、大型iPadをAppleが開発しているという噂の現実味が増す。