これ以外にも、すでに米国で研究が進んでいるWatsonの面白い事例に関して話を聞くことができた。例えばシリコンバレーではスタートアップやその周辺での投資活動が活発だが、ここに存在するスタートアップの人のつながりや開発しているサービス、現在の会社の状況といったデータをひたすらWatsonに"学習"させることで、現在この場所で起きている事象をソーシャルグラフ的に洗い出し、企業の投資価値の判断や潜在的な投資案件をWatsonが見つけ出すことができるという。
この興味深い仕組みは、すでに複数の金融機関が研究を進めているとのことで、これまで"経験"や"勘"に頼っていたような投資事業が機械的にきちんとした形で分析されるようになる。そのため、データ解析を中心としていた一部のアナリストにはWatsonに職を奪われるようになる日もそう遠くないのでは……という話もあるようだ。
とはいえ、現在のWatsonはまだプラットフォームとして存在しているのみで、日本語へのローカライズも作業の途上にある。重要なのはパートナー各社らとの協力体制と、今後事業として拡大していくうえでの製品やサービス、成功事例であり、今後時間をかけて熟成されていくことになる。