膨大なデータを基にしたアドバイザーに
Watsonには大きく3つの機能があり、これを組み合わせることでJeopardy!でのクイズ対戦を可能にしている。1つは自然言語解析で、テキスト化された人間の言葉をコンピュータとして理解できる仕組みだ。2つめは学習機能で、さまざまなデータをWatsonへと渡すことで事象を学習し、前述の自然言語解析と合わせてさまざまな形式のデータに対し、その理解を深めることができる。そして3つめが解析機能で、以上の2つを経て吸収したデータを基にさまざまな観点から分析を行い、最適な解を素早く導き出す。つまりクイズの解答に必要な膨大なデータをWatsonに渡して学習させることで、クイズの質問を理解し、その解答を素早く提示する仕組みが出来上がるわけだ。
単純にいえばこれだけなのだが、これを応用することでさまざま事象に対応できる。例えば一昔前はデータウェアハウス(DWH)、最近では「ビッグデータ」などの名称で呼ばれる大量のデータの多方面からのリアルタイム解析において、Watsonを活用することで必要な情報を素早く抽出し、経営者や現場への的確な指示が可能になるだろう。Watsonにおける大きなポイントは「経験学習」ということがあり、例えば病気の症状と診断結果の膨大なデータを学習させておくと、何らかの病気を訴える人の症状をいくつか入力することで、考え得る病例や対策をWatsonが個人ドクターとして指南することもできる。
これはほんの一例だが、学習するデータや問い合わせを行うクエリーの形態は問わないため、膨大な(入力された)経験を基にした比較的信頼に足るアドバイザーとしてWatsonを利用できるようになる。