さらに、固定費削減の断行として、事業構造および拠点改革の推進、希望退職や海外拠点縮小に伴う人員削減、本社のスリム化や緊急人件費対策を行う。
具体的には、2015年度上期中に国内で3,500人規模の希望退職募集を実施。年度末までにグローバルで約10%の人員削減を目指す。また、大阪・西田辺の本社の建物、土地の売却と、事業構造や拠点改革を推進。緊急人件費対策として、役員に加えて、従業員の給与削減、賞与カットも実現する。これらの取り組みにより、2015年度の営業利益予想の800億円のうち、36%を占める285億円の収益改善効果を見込んでいるという。
組織・ガバナンスの再編および強化としては、個々の事業ごとに経営の規律を高める自律経営を実現するという。2013年4月から導入したビジネスグループ制では、本来目指したグループとしての責任経営が十分に機能しなかった。そのため、発展的に解消し、カンパニー制を導入する。
高橋社長は、「2014年度は実質黒字であったが、競争環境が厳しさを増し、収益力が低下した。将来に渡って、環境変化に揺らぐことがない安定的な事業基盤を構築するために、さらに踏み込んだ抜本的な構造改革を、間髪を入れずに断行することにした」と、新たな中期経営計画の狙いを示し、「今後重要な役割を担う人材に、ベストな成長機会と働きがいのある職を提供し、厳しい競争環境を勝ち抜ける強い組織を作る」と抜本的な人事改革を行うことを表明した。
また、経営責任の明確化と、社外取締役拡充による監督の強化を図るとし、社外取締役として、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズの住田昌弘会長、齋藤進一社長が社外取締役に就任する。
高橋社長は、「シャープは今後10年、100年に渡ってあり続けなくはならない企業。それが、今日まで支えてきたいただいたみなさんへの恩に報いることである。シャープには長年に渡って培ってきた独自技術や、シャープな目のつけどころがある。それに加えて、人に一番近いところで、人がよりよく生きるために必要なことを追求する、人に寄り添い、新たな価値を提供する企業を目指すことで社会に貢献したい」と語った。