もうひとつ、今回が初めてとなる試みとして、「お化け屋敷」も見逃せない。ニコ動ではゲーム実況プレイ動画が人気で、特にフリーのホラーゲーム実況は高い人気を誇る。そこで、ニコ動で人気のタイトルをモチーフに、お化け屋敷を作り上げたというわけだ。

けっこうな広さのお化け屋敷

「ニコニコ動画を地上に再現する」ことを目標にスタートした超会議も今回で4回目。さすがに新企画を思いつくのも難しくなっていると思われる中、このアイデアには「まだそれがあったか!」と感心させられた。

ちなみに今回、同行したカメラマンと2人で入ってみたのだが、本気で怖かったことを記しておく。取材ということで、特別に撮影を許可されていたのだが、同行のカメラマンは撮影を半分くらい放棄して悲鳴を上げ続けていた。実は仕掛けなどはプロのお化け屋敷プロデューサーが担当しており、かなりの本格派。そりゃあ怖いはずだ。

悲鳴と引き換えに撮れた写真

ニコ動ではおなじみ『青鬼』も登場。ゲーム中のあのシーンを思い出す……

2人が別行動しなければならない部屋もあり、恐怖は最大限に

ユニークなのは、このお化け屋敷、ある一室だけがニコニコ生放送で中継されていること。部屋に入ってきたユーザーが怖がる様をじっくり堪能できるのだ。同時に会場でも、モニターにその様子が映し出されていた。

また、ニコ生ではMCと視聴者が話し合って、「もっとこうすると怖いんじゃないか」と演出を工夫していたようだ。後から見てみるとこれがとても楽しい。超会議だけでなく、新しいお化け屋敷の楽しみ方のスタイルとして定着するのもありじゃないかと思う。

1~3ホールは企業エリアになっていて、今年もたくさんの企業ブースが出展されていた。どの企業も、それぞれに趣向を凝らしたブースを作っていたが、個人的にダントツで良かったのが、日産ブース。

日産ブースは「リア充を観察してみた」

これ、日産のスマートバーベキューカーをPRするために企画したもの。「リア充を展示する」というコンセプトで、やっていることは、ただひたすら日産のバーベキューカーを使って「リア充」役の役者さんがダラダラしているだけ。

バーベキューカーでリア充が一日中ご飯を食べたりくつろいだりしている様子をニコ生で中継している

これを交代もなしで一日中やっているのだ! そして、その様子をニコ生でずっと中継しているのである。シュールすぎる。

冷静に考えると、要するに"実演"なわけで、特に珍しいことではないのだけど、それを「リア充の生態を観察する」と銘打って、ニコ生で中継することでコンテンツに仕上げてしまうセンスがすごすぎる。ニコニコユーザーが何を面白がるかをきっちり把握していないと、この企画は出せないだろう。聞けば、鈴木おさむ氏が企画に関わっているそう。さすがである。

チェキが出てきて思わず吹き出した。よくわかっている

実演といえば、会場を歩いていて、ふと足が止まったのが、松屋総本店の「とんとこ飴」ブース。川崎大師の名物で、飴を包丁でリズミカルに切る様が人気の老舗だ。超会議では、その飴を切る実演をずっとやっていた。

松屋総本店がまさか超会議に出展する日がくるとは

ひたすらトントンしていた

何でこれが超会議に? と思うかもしれないが、実はちょっと前に、この「リズミカルに飴を切る」様子が動画で投稿され、人気を呼んだのだ。投稿したのは、たまたま飴を切るところを動画で撮影した一般人なので、松屋総本店自体は動画サイトで人気になっているとは知る由もない。今回の出展の話がきたときは、さぞ驚いたのではないだろうか。

意外といえば、「描いてみた美術館」のピカソ。

描いてみた美術館

世界最高の「絵師」であるピカソの作品を持ってきて、ニコ動ユーザーの「絵師」の作品と並べて展示してしまおうという企画である。筆者が知らないだけかもしれないが、ピカソ自体がニコ動で特別人気だとは聞いたことがない。たぶん、これは「描いてみた」ブースの作品展示案が先にあり、その上で何か面白いことができないかということで思いついた企画じゃないだろうか。

ピカソとニコ動の絵師の作品が並んで飾られている

感心したのは、ピカソ自体はニコ動とは何の関係もないのに、このピカソ展にはちゃんとニコ動イズムが感じられるということ。どこか発想が"ニコ動らしい"のだ。これってけっこうすごいことである。

そう思って超会議全体を見渡してみると、こうした"ニコ動らしさ"をうまく出せているかどうかで、企業ブースなどもにぎわいに差があった印象だ。

来年以降、ニコニコ超会議にはまた新規出展する企業が出てくるはずだが、この空気感を理解しているかどうかが成功と失敗を分けそうだと感じた。

歌ってみたステージ

ボカニコもすっかり定着した