一方で、取り外したディスプレイ部のモノづくりにもこだわった。
たとえば、通常のタブレットに比べてサイズが大きいため、落下時の耐久性を持たせる必要性がある。また、端を持った際のたわみへの対応も必要だ。そして、手に持ったときに軽く感じる工夫も施しているという。
「ディスプレイ部の持ち方は、左右両側を両手で持つというスタイルが多いと想定した。その際に、もっともバランスが良くなるように、中央部にバッテリや部品を集めたレイアウトにした」(富士通 パーソナルビジネス本部プラットフォーム開発センターメカニカルデザイン技術部・三原大輔氏)という。
三原氏は、これまでの経験から、同じ重量でも軽く感じるレイアウトがあることを知っていた。LIFEBOOK GH77/Tについて、三原氏は「コマの原理を応用した」と説明する。実際、中をみると、中央部のバッテリと、一部基板があるだけで、構造はかなりシンプルだ。
「本来、部品は端に寄せた方がケーブルが短くなり、基板もより小さくて済む。しかし、今回の製品では、それよりも使ってもらう人が軽く感じる方を選択した」という。ちょっとしたマジックだ。
実際、最初に持ったときには、その「軽さ」に驚いた。これまでさまざまなPCやタブレットを触ってきた経験から、15.6型ディスプレイのサイズに対する重さの先入観、そして、960gという重量に対しての先入観がある。しかし、LIFEBOOK GH77/Tを持った時の「軽さ」はその先入観を打ち破るものであった。
だが、もちろん重量そのものも大切な要素だ。
「1kgを切ることを必達目標にした」(河野氏)というのがLIFEBOOK GH77/Tで目指した指標。最終的には、約980gを実現したが、社内では、1kg、1.1kg、1.2kgといったように、100g単位で異なるモックアップを製作。これを開発者たちが持ってみて、1kgを切ることの大切さを体感して認識し、これを譲れない目標に設定した。
バッテリ駆動時間の秘密
ディスプレイ部の重量を占めるのはパネルとバッテリである。とくに、バッテリの軽量化を図ろうとすれば、当然、連続駆動時間が短くなる、というトレードオフの問題が発生する。
「本当は4セルを搭載したかったが、それでは1kgを超えてしまう。3セルに留めたのもそうした理由があった」(河野氏)という。
3セルとしたことで、連続駆動時間は4時間となった。だが、この4時間の駆動時間は、GH77/Tのターゲット層を意識したユニークな視点から、最低限クリアしなくてはならない目標として設定したものだった。
「LIFEBOOK GH77/Tのターゲットとしたのは家族。そして、ITリテラシーが高い30代、40代の男性の購入も想定した。4時間というのは、ブルーレイディスクの映画をみて、余裕があるという時間であるというのがひとつの指標。そして、30代、40代の忙しいビジネスマンが午後8時に帰宅して、それから就寝するまでの時間を約4時間と想定し、その間充電せずに利用できる時間を目指した」(河野氏)。