MVNOにとっての壁

MVNOはいまでは多くの企業が参入しており、イオンやヨドバシカメラといった流通企業も参入しています。しかし、例外なく、これらのMVNOは、SIMフリー端末しか扱っていません。国内の端末メーカーと大手3社のMNOの結びつきは強く、あとから割り込めるものでもありません。

ソフトバンクモバイルも当初は自身で周波数割り当てを受けてビジネスを行うつもりでしたが、結局ボーダフォンの買収という形で参入を行いました。これは、ボーダフォン(旧東京デジタルフォン⇒Jフォン)という流れで、端末メーカーとの関係があったからです。それに、ゼロから顧客を増やしていく事業者だとすれば、当初の購入数は、すでにビジネスを行っているMNOに比べると微々たるものにしかならず、メーカーとしても相手にしにくい存在です。

法律上は、総務省が管轄する規格に準拠した端末であれば、携帯電話サービスに利用することが可能ですが、現実には、事業者のさまざまなルールや仕様に従い、必要な機能などを装備していないと、利用することができません。しかし、これからスタートするMVNOは、こうしたルールも条件も持っていません。ここに対して、総務省は、SIMフリー端末のみを扱うように指導したと考えられます。

実際、MVNOが増えるとともにユーザーが入手可能なSIMフリー機は増えてきました。なかには、1万円を切るようなスマートフォンさえあります。また、これは、実質的な端末市場の開放です。SIMフリースマートフォンの中には、著名な国内メーカー、大手の海外メーカーだけでなく、これまで聞いたことがないようなメーカーもあります。SIMロック解除とMVNOの推進で、SIMフリー端末という市場がいつのまにかできたのです。

そう考えると、5月から始まる、各社の自社端末のSIMフリー化ルールなど、なんだっていいのです。5月からのルールに対して、改悪などという評価もあるようですが、実際に狙ったのは、SIMフリー端末の受け入れなのですから。