2020年の東京五輪でも第5世代無線LANが活躍
先述のレッカー氏は米国のホッケースタジアムを例に挙げ、数千~数万人が集まるスタジアムでは、携帯電話は非常につながりにくくなってしまう。基地局を増やして対応することも可能だが、一般に3G/4Gの基地局はかなり高価だ。これに対して無線LANであれば比較的低価格でアクセスポイントを増やすことができ、スケーラビリティの面で優れていると強調。例えばアメフト・NFLのサンフランシスコ49ersのホームスタジアムには1300ものアクセスポイントが用意されているという。
東京オリンピックでも第5世代無線LANを使い、さまざまなサービスがコンテンツプロバイダーから登場することを期待していると述べた。
最後に、3月に発表されたばかりのブロードコムの無線チップ「BCM4359」を、5GHz帯と2.4GHz帯を同時に扱える「RSDB:Real Simultaneous Dual Band」(真のデュアルバンド)対応として紹介。ネットワーク接続に加えてBluetoothやWi-Fi Directで機器間の接続も処理できる無線LANは今後も重要な位置を占めていくとまとめた。
無線LAN規格にももっと注目を
現在販売中のスマートフォンのうち、11acをサポートしているのはまだ高級機が中心で、ハイエンド志向が高い日本でも、2x2 MIMOまでをサポートするのは全体の半数以下にとどまるだろう。とはいえ、LTEが高速化しても多くのユーザーは公衆無線LANを好んで使うという調査結果もある。
今後11ac対応機が増えるとともに、公衆無線LANが11ac対応していけば、MU-MIMOやビームフォーミングにより、現在よりも快適なレスポンスでの接続が可能になるはずだ。
ユーザー側の端末はもとより、職場などのアクセスポイントも積極的に11acに置き換えていくことで、限られた電波帯域を有効に活用し、快適な接続環境が得られるだろう。次の機種選びの際には、無線LAN規格にも注目してみてはいかがだろうか。