通信環境の改善に期待

NTTドコモはユーザー数の多さや、既存FOMAユーザーに配慮した帯域幅設定などの結果、LTEの導入が一番早かったにも関わらず、スループットや快適性などの点で他社に水をあけられているのが現状だ。しかし今回のデモを見るに、LTE-Advancedがスタートし、高度化C-RAN環境が普及していけば、通信環境の大幅な改善が期待できそうだ。

こうした恩恵を受けるには端末側の対応も必要だが、カテゴリー6に対応した無線モデムはクアルコムなどから登場済みなので、2015年モデルのスマートフォンでは快適性の向上が期待できるだろう。高度化C-RANは通信容量の大きな密集地から導入されるということなので、繁華街などでの通信レスポンスの改善を期待したい。

3.5GHz帯を使ってさらなる高速化も計画

2014年12月、総務省は大手キャリア3社に対し、第4世代移動通信システム用として、3.5GHzの帯域120MHzをそれぞれ40MHzずつ割り当てた。これにより、NTTドコモは既存の周波数帯とのCAにより、さらなる通信の高速化を図る。総務省の資料によると、NTTドコモは2016年3月に特定基地局での運用を開始し、2016年10月に商用サービスを開始する予定だ。

40MHz帯はCAにおけるCC(Component Carrior:20MHzずつの周波数のブロック)2つぶんに相当するため、既存の帯域20MHzと3.5GHz帯40MHzを束ねてCC3つぶんのCAを組むようだ。これにより、単純計算で下り約450Mbps(LTEカテゴリー9)相当の通信が可能になる見込みだ。

もともと3.5GHz帯は電波の特性上、エリアが小さいスモールセルでの運用が理にかなっており、高度化C-RANのスモールセルに利用するには最適な帯域だといえる。さらに将来的には4x4 MIMOの導入も計画されており、1Gbps級のサービスも視野に入ってくる。

なお、3.5GHz帯は各社ともTD-LTE方式での運用予定となっている。現在のLTEはWiMAX 2+やSoftbank 4G(AXGP)がTD-LTEで、それ以外はFD-LTEでの運用となっているが、3.5GHz帯のサービスが始まれば、FD-LTEとTD-LTEを組み合わせてのCAということになる。ドコモとしては初のTD-LTEサービスともなり、その実力が期待される。