帯域を有効活用するための「高度化C-RAN」
前述したLTE-Advancedを構成する技術を、NTTドコモの尾上誠蔵 取締役常務執行役員(CTO)は「力業(Brute Force)で美しくない」と切り捨てる。CAもMIMOもヘテロジーニアスネットワークも、技術としては古いもので、ひとつひとつは目新しいものではないからだ。
しかし、個々の技術は古くても、組み合わせることで新しいフィーチャーをもたらすことができる。それがNTTドコモが進めている「高度化C-RAN」アーキテクチャだ。
C-RANとは「Centralized Radio Access Network」の頭文字で、従来1つにまとめられていた制御部とアンテナを分離し、制御部は中央にまとめ、複数のアンテナ(セル)を集中的に管理しようという仕組みだ。高度化C-RANでは、管理する基地局を広範囲に電波が届く「マクロセル」と、半径約100m程度までの狭い範囲をターゲットにした「スモールセル」に分け、マクロセルの範囲の中に複数のスモールセルを配置し、マクロセル・スモールセルをまたいだCAを実行する。そのための専用基地局も順次配備が進められている。こうした技術は将来の5G規格でも生きてくるという。
展示されていた基地局
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新型基地局装置
ベースバンド信号の変換や各セル局の制御を行う。この新型基地局1つで最大48セルを制御でき、1つのラックに最大4つの基地局を詰め込めるという。
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スモールセル基地局&アンテナ
無線部で制御部から送られてきた信号をアナログ変換して電波として発信する。上にあるのが無指向性アンテナで、長いものがチルト(下向き)付き、短いほうが平面に電波を発する。中段にあるのはビルの壁面などに設置する指向性アンテナ。下段はスモールセル用の基地局(子機)で、非常に小さいのがわかる。
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スモールセル基地局&マクロセル用子機
左側は富士通製(左)とノキア製(右)のスモールセル基地局。規格が統一されているので、メーカーが異なる基地局でも同様に制御できる点はドコモの開発力の賜物か。右側はマクロセル用の子機で、現在も使用されているものがそのまま流用できるという。