Gbps化を視野に入れた「ヤ倍速」

「ヤ倍速」は、今後UQが実施していく通信速度高速化の総称だ。無線を使った通信の高速化には、複数の帯域を束ねて広い帯域として使う「キャリアアグリゲーション」(CA)や、複数のアンテナを同時に使う「MIMO」技術などが使われるが、「ヤ倍速」ではこの双方を利用する。

具体的には40MHzの帯域を連続して使用するCAと、4x4 MIMO技術の双方が採用され、現在のWiMAX 2+の2倍となる220Mbpsを実現している。ただし現段階では、CAとMIMOは併用ではなく、それぞれ別の方式として採用されている。また、どちらも端末側の対応が必要だ。

UQコミュニケーションズでは、従来WiMAX側に30MHz、WiMAX 2+側に20MHzを割り当てており、WiMAX 2+側は20MHzで110Mbpsを実現していた。これをWiMAX側から20MHzぶんWiMAX 2+に割り当て直すことでWiMAX 2+が連続した40MHzを利用できるようになり、最大220Mbpsでの通信が可能になる。代わりにWiMAX側は割り当てが10MHzとなり、従来の40Mbpsが13.3Mbpsへと減速するかたちだ。周波数帯の割り当て変更が行われるのは2月12日、栃木県真岡市からで、以降、順次拡大していく。

帯域が減るWiMAX側は減速することになるため、UQモバイルではWiMAXからWiMAX 2+への移行を推進中。今回の「ギガ放題」が移行の一助になりそうだ

もうひとつの4x4 MIMOは、基地局と端末側が同時に4本のアンテナを使って通信を行う。既存のWiMAX 2+が2x2 MIMOであるため、2倍の220Mbpsを達成できるわけだ。すでに基地局側の4本アンテナ化はほぼ完了しており、こちらは一部のエリアを除き、ほぼすべてのエリアが一度に220Mbps対応になる。4x4 MIMOの商用化はUQコミュニケーションズが世界初となる。

4アンテナの実装や複雑な演算を最適化し1チップ化するなど、ハードウェア面での技術革新が大きなキーポイントとなっているとのこと

さらに、2016年以降は4x4 MIMOとCAを併用することでさらに2倍の440Mbpsを、将来的には東京オリンピックが開催される2020年までに1Gbps級の速度を目指しているという。

システム合計で見ると、2012年には40MbpsだったUQコミュニケーションズのサービスは、WiMAX 2+の登場でシステム合計150Mbpsへ、ヤ倍速のスタートで233Mbps、2016年以降は453Mbpsへと、実に11倍もの拡張が実施されることになる。

途中で20MHzぶんの追加があったとはいえ、帯域利用効率の向上は相当なものになる