自由なVAIOの新たな進化

一方で、Inter BEEにおけるVAIO Prototype Tablet PCの展示は、新たな動きを生むことにもなった。それは、VAIO株式会社という独立した組織になったことでの自由度が発揮されることによって実現したものだ。

4K分野では、ソニーも積極的な取り組みをみせている。従来のようにソニーという組織のなかで展開していたVAIO事業であれば、当然、ソニーの放送機器部門と手を組むことが自然であっただろう。だが、VAIO株式会社という独立した組織で事業を推進する上では、ソニーの枠にとらわれず、キヤノンとも積極的に手を組むこともできる。

今回のInter BEEにおけるキヤノンブースでのVAIO Prototype Tablet PCの展示はそれを象徴するものだ。

そして、VAIOの国内販売は、すべてソニーマーケティングを通じて展開することになるが、ここでも、これまでにはほとんど連携がなかったソニーマーケティングと、キヤノンの販売子会社であるキヤノンマーケティングジャパンとの連携が開始される可能性も出てきたといえる。VAIOにとっても、キヤノンにとっても、ビジネスの幅を広げることができる協業が始まったというわけだ。

VAIO Prototype Tablet PCは、プロトタイプという位置づけでありながらも、積極的に多くのユーザーが触れる機会を用意し、そこで得られた声を製品化に反映するという手法を取り入れている。

これはソニー時代にはなかった取り組みである。そして、今回のInter BEEにおける展示でも、放送業界関係者から多くの声を得て、新たな進化の方向性を打ち出すことになったといえよう。

宮入部長は、「我々自身が、VAIO Prototype Tablet PCのターゲットサユーザーを理解できていなかった反省がある。こうした活動を通じて、VAIO Prototype Tablet PCの新たなターゲットを知ることができた」とする。そして、伊藤ダイレクターは、「撮影現場での効率性が高まることで、日本における4Kコンテンツに増加、普及を下支えすることにつなげられるのではないか」と語る。

果たして、VAIO Prototype Tablet PCはどんな形で製品化されるのか。製品化されたときの姿がますます楽しみになったとはいえまいか。