もうひとつの特徴は、進化するOfficeとなったことだ。

これまでのOfficeにも、アップデートのサービスが用意されていたが、新たなOfficeではバージョンを超えて進化することになる。いやむしろ、バージョンという概念をなくしてユーザーに最新版のOfficeが提供されるようになったといっていいだろう。

Office Premiumでは、インストールされたOfficeアプリケーションは常に最新版にアップデートして利用でき、インストールされた当該PCを使い続ける限り、永続的な利用が可能だ。例えば、2014年4月にOffice 2003のサポートが終了したのは、記憶に新しい。従来のOffice搭載PCでは、サポート期間が終了したOfficeをそのまま使い続けるのは、脆弱性の観点からも危険である。新たなOfficeへと買い換える必要があるわけだが、新しいOffice PremiumがインストールされたPCなら、そうした問題がなくなる。

新Officeの発売イベント「日本のパソコンが変わる」より。写真左上は新Officeの提供形態。写真右上は提供形態を説明する日本マイクロソフトの中川智景氏。Office 365 SoloはPOSA(Point of Sales Activation)形式で提供。このイベントには、ゲストとしてフリーアナウンサーの小林麻耶さんと麻央さんの姉妹が訪れた(写真左下)

また、Office Premiumに付随するOffice 365サービスも、進化するOfficeを象徴するものだ。

発表当初は、OneDriveの容量は1TBが上限だった。これだけもコストパフォーマンスが高いサービスであったが、米国でのOfficeユーザーに対する容量無制限サービスの開始に合わせて、日本でも同様に容量無制限が採用されることになった。こうしたサービスの進化も期待できるというわけだ。

あくまで仮説だが、現在、Office 365サービスでは、Skypeによる月60分間の公衆回線への無料通話が用意されている。これがスマホへの通話も無料で提供されるようになると、そのサービス価値はさらに高まることになろう。こうした進化が期待できるのが新たなOfficeということになる。

だが、新たなOfficeの普及において、懸念されることもある。これまでとはまったく異なるライセンス体系であることから、ユーザーがその仕組みを理解するために時間がかかるという点だ。

Office PremiumとOffice 365 Soloでセットアップ手順は異なる

例えば、Officeを利用するためにはオンラインでの登録が必須となっている。この際に、IDとなるMicrosoftアカウントが必要だ(新たに作成してもよい)。

さらに、PCにインストールされているOffice Premiumの権利は、PCに付属しているため、PCを譲渡した際には、そのまま権利が新たな所有者に移管する。しかし、Office 365サービスは、Microsoftアカウントを持つ所有者に権利が付与されるため、PCを譲渡した場合にはこのサービスは移管できない。新たな所有者は、Office 365サービスを利用する場合には、別途サービスを購入する必要があるのだ。

このように、PCに付属するライセンスと、人に付属するライセンスが混在している環境にあるのが、新たなOfficeということになる。この仕組みをしっかり理解して、正しい使い方をする必要があるのだ。