――今回、演出で京田(知己)さんが入っているのは監督の指名ですか?
水島監督「僕がお願いしました。最初、東映さんからは一人でコンテを書いてほしいと言われていたんですよ。でも、僕はそんなにコンテが速くないし、他の作業をやりながらだと無理だと思っていて、仮に人にお願いするなら、どのパートをどのように振り分けたらいいかなって考えてました。後半のアクションシーンはボリュームがあるし、技術的に構成が難しいところもある。それをちゃんと理解して、絵コンテまでやれる人となると、京田君しかいないかなと。ちょうど、彼の仕事もひと段落ついたタイミングだったので誘ってみたら、シナリオを読んで、いいですよと言ってくれた。それで絵コンテをお願いしたら、すごい密度のものが上がってきたので、これは僕がやるよりも本人が演出するのが一番良いように思えた。それで、改めて演出もお願いしたところ、3DCGの現場にも興味があったようで、いろいろと調整して引き受けてくれることになりました。現場では、京田君が監督くらいの気持ちで、周りも京田君の話をよく聞いて、カットを作ってくださいといって、取り組んでもらいました」
――キャスティングに関しても監督のご意向ということですが
水島監督「そうですね。メインの3人については音響監督と相談して、ご本人にもメールを出してお願いしました」
――キャスティングのイメージは、どのあたりから出てきたのですか?
水島監督「映画はやはり一発勝負なので、僕自身が、最初の段階でどれだけちゃんとしたイメージを持てるかが大事。その意味で、虚淵君の脚本が、ブロックごとに何個かに分けて上がってきたので、読み進めながら、キャラクターをどのように表現して、どのような会話をさせたら、一番ユーザーに伝わるかをずっと考えていました。その中でも、アンジェラは、釘宮(理恵)さんの声がこのキャラクター性には一番合うんじゃないかと思ったので、釘宮さんの名前はシナリオが出来上がる前から言っていたと思いますし、虚淵くんも賛成してくれて、たぶん彼も途中からは釘宮さんが喋っている声を頭の中で浮かべながら本を書いていたと思います」
――まずはアンジェラのイメージが最初だったんですね
水島監督「逆にディンゴは全部シナリオが揃ってからですね。シナリオが全部揃ったところで、ディンゴの人間としての姿をどうやって定着させるか、アンジェラとの関係性を含めて、年齢感とかいろいろ考えていくうちに、三木(眞一郎)さんの声が聞こえてきた。バランス的にも三木さんが合うと思ったので、そのまま三木さんにお願いすることになりました。釘宮さんと三木さんに関しては決め打ち的ですけど、フロンティアセッターの場合はちょっと違って、引き受けてくれるんだったら神谷(浩史)君が向いているとずっと思ってはいましたが、どちらかというと、彼にやらせてみたら面白いんじゃないかなっていう希望値でした。そういう思いの中、シナリオを詰めていくに従って、やっぱり彼が一番良いんじゃないかと思って打診したところ、彼もシナリオを読んですごくやりたいと言ってくれたので、お願いすることになりました。3人とも僕のイメージにばっちりハマった感じです」
――それでは最後に『楽園追放』の見どころを教えてください
水島監督「『楽園追放』はすべて3Dで作られたアニメーションですが、今のアニメーション業界の中ではかなり最高峰な技術で完成した映画になっています。ただ、お話的にはまったくそういうことを気にせず、エンタテインメントとしてもすごくまとまった作品になっていますので、映画として楽しんでいただければうれしいなと思います」
――ありがとうございました
『楽園追放 -Expelled from Paradise-』は2014年11月15日(土)より新宿バルト9ほかにて劇場上映(配給:ティ・ジョイ)。
(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ