Yosemiteとの連携は楽しみ
iPadのハード面ではパッとしない発表だったが、もう一つの「Yosemite」との連携は興味深い。
20日(現地時間)にアップデートがリリース予定の「iOS 8.1」は、Mac用の最新版OSとなる「Yosemite」と連携する「Continuity」機能をサポートしているのだ。
この機能を簡単に説明すると、iPhoneとMacをシームレスに連携し、作業を引き継ぐことができるというもの。たとえばiPhoneにかかってきた電話をMacで受けられる「Phone」や、iPhoneでの作業の続きをMacで引き継いで行える「Handoff」、MacからiPhoneを使ったテザリング機能をコントロールできる「Instant Hotspot」などがある。どれも、iPhoneとMacを一緒に使う際には非常に便利な機能だ。
こんなシーンでの利用が考えられる
たとえば、こんな状況が考えられる。
電車の中、iPhoneでウェブをチェックしたり原稿を書いたりしながら移動し、そのまま自宅に着いたらMacで執筆を続行する。「Handoff」機能により、Safariで見ていたウェブページやメールがそのまま引き継がれるので、再度ページへのアクセスやメール作成をやり直すことがなくなる。自宅以外で作業する場合は、Mac側からテザリング機能を使えるため、iPhoneを鞄に放り込んだままネットに接続することができる。かかってきた電話もMacで受けられるので、やはりMacだけで仕事の流れが完結する――といった具合だ。
つまり、iPhoneの機能の一部を、そのままシームレスにMacに引き継げるようになるというわけだ。一つひとつは些細なことかもしれないが、毎日のこととなると話は別。コピペしたり同期したり、鞄からiPhoneを取り出したりといった"ひと手間"がなくなることで、かなりの無駄を省くことができる。
iPhoneとMacの連携をここへきて強化してきたことには、先ほど挙げたiPhoneとiPadのハード面での進化の限界が背景としてあるようにも思う。iPodから始まり、iPhone、iPadと、ライフスタイルを変革するデバイスを発表してきたAppleだが、一つひとつはすでに成熟期を迎えている。
iPhoneにしろiPadにしろ、すでに欲しい人の手には行き渡ったと思われる現状、Appleが次に狙うのは、デバイス同士がより強力に結びつくことで、新たな価値を生み出す世界ではないか。