iPadを携えて、建設的に議論を進める
街という題材は目の前に置かれているが、どんな切り口で問題を見つけ、どのように解決するのか、全くまっさらな状態から議論をスタートさせることになる。ゴール設定と全体の計画を自分たちで作り、より良いプランに仕上げるべく場に貢献しながら議論を進めていく。
当事者意識を持って自分のプロジェクトを完成させていく。筆者は期間中、合計3回、授業を見学させてもらいながら取材を進めたが、考えてアクションが取れる人へと成長する過程を目の当たりにし、驚かされた。そんな多くを吸収する高校生たちの手には、iPadがあった。
100人の高校生は、日本を出発する前から、ソフトバンクから貸与されたセルラーモデルのiPadを使い始め、3週間のプログラム中もUCバークレーのキャンパス内に張り巡らされたWi-Fiを活用しながら、「iPadのある生活と学び」を送ってきた。
iPadそのものを手渡されたときは「率直に嬉しかった」と口を揃える高校生たち。話を聞いたところ、このプログラムを通じてiPadが活躍する風景が浮かび上がってきた。
現在の高校生は、そもそもの前提として、ほぼ全員がスマートフォンを持っていて、肌身離さず持ち歩いている。米国では高いローミング料金の問題もあって自由に使うことは難しいが、日本にいる限りにおいては、いつでもどこでもオンラインでつながっており、LINEやメールなどのアプリを駆使してコミュニケーションを取ることができるという。
しかしそれでも、iPadの大きな画面を活用できる点は、自分たちのスマートフォンの体験と異なっていた、と話す。例えば資料を探したり、情報をまとめたりする際には、スマートフォンの小さな画面とキーボードよりも素早く適格な操作ができるタブレットにメリットがあると話していた。