Y-PLANで学ぶリーダーシップとアクション
UCバークレーで高校生たちは「Y-PLAN」と呼ばれるプログラムを学んだ。Y-PLANとはYouth – Plan, Learn, Act, Now!の頭文字を取った、戦略的な教育手法だ。健全で持続的な発展をもたらすコミュニティ作りに向けて、計画を作りアクションへと結びつけることを目標としている。
100人の高校生はまずはじめの2週間で、バークレー市内の地域である「アデライン・コリドー」を題材にしたフィールドワークとアクションプランの策定を通じてY-PLANを学んだ。
このアデライン・コリドーは、かつて路面電車と鉄道のターミナルが置かれた場所として栄えてきたが、交通手段が自動車に変わって路面電車が廃止され、またBARTと呼ばれる高速鉄道が地下を走るようになり、地上には地域を分断するガランとした幅員の広い道路と、こぢんまりとした店舗がいくつか残る状態となった。
バークレーに住んでいる筆者からすると、この周辺は特別治安が悪くて危険というわけではないが、夜はあまり訪れたくない場所であり、昼間もあまり行く理由がない、単なる通過点になってしまっていた。高校生は1グループ25人に分かれ、フィールドワークを通じて、この地域をどのように蘇らせるかを議論し、プレゼンテーションにまとめた。
Y-PLANは5つのステップで進めていく。
- 「Start up」では街の強みを見つけ、挑戦すべき課題を発見する。また地域の当事者と会って理解を深め、行動指針を作成する。
- 「Making sense of the city」では、その地域の地図を作成して地域理解をより深め、コミュニティに対してインタビューを行う。
- 「Into action」ではビジョンを作るべくグループでアイディアを出し合いながら議論を進める。ここで、行動計画を立てる。
- 「Going public」からでは、効果を最大化し、プレゼンテーションを作って発表をする。
- 「Looing foward and back」はふりかえりと結果のまとめ、総括となる。
今回バークレーのアデライン・コリドーを題材とした発表会には、UCバークレーの教員に加えて、バークレー市議や市長室のスタッフ、隣のオークランド市のスタッフなどが顔を揃えた。まさに地元に対しての提案が行われたのだ。
このTOMODACHIプロジェクトでは日本人の高校生がバークレーにやってきてフィールドワークをするが、バークレーにはY-PLANを学びに他の国の学生もやってくる。つまり多種多様なアイディアが常に地元に供給されることになる。そのため、自治体もアイディアの宝庫に耳を傾けない手はない、ということだ。