ボディは、α7およびα7Rのデザインを継承する。トップカバーやフロントカバーなどはマグネシウム合金製で、質感や剛性感はまずまず高い。フロントカバーに樹脂素材を採用したα7に比べるとやや重く、本体のみの重量は約446g。とはいえフルサイズの一眼レフに比べるとかなり軽量で、携帯性に優れるというメリットは変わらない。

α7およびα7Rでは樹脂製だったマウント部の爪は、金属製に変更されている。センサーには有効1,220万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載する

ファインダーには236万ドットの0.5型有機ELを搭載。視認性は良好だ。アイセンサーの反応はやや敏感すぎる

液晶モニターには約92万ドットの3型チルト式を採用。上に約90度、下に約45度まで可動する

専用FEレンズの種類がまだ少ないというα7シリーズ共通の弱点はあるが、そのことは市販のマウントアダプターを活用することで、ある程度は解消できる

各種のボタンやダイヤルは、自分が使いやすいようにカスタマイズできる

トータルとしては、高感度と動画という2つの個性が際立ったユニークな製品といえる。筆者がふだん活用しているα7の場合、通常はISO50~3200の範囲で使用し、かなり暗いシーンでもISO6400以上の高感度に設定することは稀だった。しかしα7Sなら、ISO6400はもちろん、ISO12800やISO25600も積極的に使ってみたいと感じる。

その一方で低感度側の描写も良好だ。発色はクリアでクセがなく、ハイライト部からシャドウ部までを滑らかに表現できる。センサーの画素数が少ないため、画像サイズは4,240×2,832ピクセルとやや小さいが、今回使った2本の純正レンズの場合、細部の再現性に不満はない。

操作面で個人的に気になったのは、カスタムボタンに割り当てられる機能の内容に制限があること。筆者の撮影スタイルでは「設定効果反映On/Off」や「サイレント撮影」「オートレビュー」などを割り当てたいが、現状ではそれはできない。とはいえ試用期間中の満足度は高く、撮ることを十分に楽しめた。

α7Sは、現行のデジカメの中ではトップ級の高感度性能を持つカメラだ。夜景や星空のほか、動き回る子どもやペットの室内スナップ、屋内スポーツ、ライブ、演奏会、水族館などを撮りたい人には特にオススメできる。

絞り優先AE(F8 1/125秒) 露出補正:±0 ISO250 WB:太陽光 焦点距離:61mm レンズ:「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F2.8 1/60秒) 露出補正:-1 ISO800 WB:太陽光 焦点距離:55mm レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F8 1/50秒) 露出補正:±0 ISO250 WB:太陽光 焦点距離:28mm レンズ:「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F5.6 1/40秒) 露出補正:-0.7 ISO100 WB:太陽光 焦点距離:55mm レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F1.8 1/200秒) 露出補正:±0 ISO200 WB:オート 焦点距離:55mm レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)

絞り優先AE(F1.8 1/250秒) 露出補正:±0 ISO100 WB:太陽光 焦点距離:55mm レンズ:「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(原寸大画像を見る)