新機能では、サイレント撮影に注目したい。これは、カスタムメニューから同設定を「入」にすると、シャッターの動作が通常のフォーカルプレーンシャッター(機械式)から、電子式シャッターのみの動作へと切り替わり、ほぼ無音での撮影ができる機能だ。

このサイレント撮影モードは、被写体の動きによって画像が歪んだり、照明状態によって画像にムラが生じるといった制約はあるが、コンサートや演奏会、結婚式など静粛性が求められるシーンでは重宝する。また、シャッターショックによるブレを低減できるメリットも感じた。同種の機能は、以前からパナソニックやニコンのミラーレスが採用しているが、ソニーのミラーレスでは初めての搭載となる。

撮影時のシャッター音を消音するサイレント撮影機能を新搭載する

登録呼び出しモードでは、よく使う撮影モードや機能の組み合わせをカメラ内に2つまで登録できるほか、メモリーカードに4つまで登録可能になった

AFには、既存モデルのα7Rと同じく、ファストインテリジェントAFを採用する。これは、ミラーレスで一般的なコントラスト検出方式のAFでありながら、空間被写体検出のアルゴリズムを利用しつつ、処理エンジンとレンズ間の通信を最適化することで比較的スムーズなAF駆動を可能にしたものだ。

動体に対する追従性では少々物足りなさが残るが、風景や静物、スナップ撮影の範囲ではAFに大きなストレスを感じることはない。より高速を謳う像面位相差AFを併用したα7と比較しても体感的な差は小さい。

しかも、イメージセンサーの感度特性の向上にともなって、フォーカスの検出輝度範囲は「EV -4~20」(ISO100相当、F2.0レンズ使用時)に拡張している。その効果は、薄暗い水族館でも確実にピントが合うことで実感できた。ちなみにα7Rやα7のフォーカス検出輝度範囲は「EV 0~20」(ISO100相当、F2.8レンズ使用時)である。他社製品でも、下がEV -4に対応する製品は少ない。

単焦点レンズ「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を装着。この組み合わせでの暗所撮影は最強。光量が乏しいシーンでも確実にピントが合う

天面にはマルチインターフェースシューを備え、外部マイクや外部ストロボを装着できる。内蔵フラッシュは非搭載となる

記録メディアはSDXC/SDHC/SDカードおよびメモリースティックPROデュオなどに対応

電源はリチウムイオン充電池「NP-FW50」。液晶使用時の撮影可能コマ数は約380枚

動画関連は今回は未検証だが、主なポイントのみ確認しておこう。ひとつは、画素加算のない全画素読み出しに対応し、モアレやジャギーが少ない精細な動画品質を実現したこと。もうひとつは、対応する外部レコーダーを接続することで、4Kでの動画撮影が可能になったこと。さらに、最大5倍のスローモーション再生ができるハイスピード撮影機能や、50Mbpsの高ビットレートに対応した「XAVC S」フォーマットでの記録、映像の特性を細かく調整できるピクチャープロファイル、編集の際に役立つタイムコード/ユーザービットの付加などにも新対応している。

動画の記録方式は、AVCHDとMP4に加えてXAVC Sに対応する

XAVC S/AVCHDで動画撮影しながら、MP4動画を同時に記録することもできる

ピクチャープロファイルでは、ブラックレベルやガンマカーブなどを細かく設定し、最大7パターンまでカメラに保存できる

外部ライト装着時に自動点灯できるビデオライトモードの設定画面