本体写真を見てもお分かりいただけるとおり、操作系は実にすっきりとまとまっている。逆に言うとデジタルカメラとしては実にシンプルな作りで、中判だからどうの、プロスペックだからどうの、という小難しさは一切ない。それどころか、「PENTAX K-3」とほぼ共通の操作性なのだ。したがって、K-3ユーザーならマニュアルを見なくても使える。
K-3やK-5シリーズ同様、PENTAX機の大きな魅力である画像キャッシュもそのまま搭載。最後にシャッターを切った画像がメモリにキャッシュされており、WBやカスタムイメージの変更をプレビューしながら選択できるのだ。しかも、「AE-L」ボタンを押すことで、RAWデータとして新規保存もできる。JPEGで撮影してしまったものの「あぁ、今のショットは当たりだった!」と思ったら、すかさずRAWで保存し直せるのである。これは全メーカーが標準搭載してほしいほど便利な機能だ。
特に、有効5,140万画素を誇る645Zのセンサーが出力する画像は、Lサイズで8,256×6,192ピクセル。その容量はJPEGでも1枚あたり20MB超、RAWデータでは80MBを超えることも珍しくない。カードの残容量やPCへの取り込みの手間や時間、画像保存などを考慮すると、できるだけ無駄玉を残したくないのが実情だ。したがって、この当たりだけをRAWで保存できるメリットはK-3以上に大きい。
多くの人が気になるAFについては、俊敏とは言えないまでも、十分に使える水準にあると感じた。ただ、27の測距点(中央25点はクロスタイプ)が広大な画面のほぼ中央付近に集まっているため、ファインダーを覗きながらピント重視の撮影をしようとすると、どうしても日の丸構図になりやすい。これは構造上やむを得ないところではあるが……。
撮影時、通常操作状態からフォーカスセレクトボタンを押すと、フォーカスポイント指定が可能になる |
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【左】「AF」ボタンを押しながらダイヤルを回すとフォーカスモードを変更できる 【右】フォーカスポイントの範囲もダイヤルで設定可能 |
構図の端に配置したモデルの目にピントを合わせる場合、AFエリアをやや広めに設定しておき、まずモデルの顔に合わせ、そこからクイックシフト・フォーカス(ピントリングを手で回してピントを追い込む、いわゆるフルタイム・マニュアルフォーカス)操作が有効だ。幸い645Zはファインダーが大きいので、マニュアルフォーカスも苦にならない。ただ、ファインダーの接眼部にまつげが当たって、少々見にくく感じることが多かった。付属のラバーアイカップを使うとかなり改善するので、ぜひ使用をおすすめしたい。
いっそ、ライブビューを使うという手もある。ライブビューなら顔認識も使えるし、チルト式の液晶モニターとも相まってアングルの幅も格段に広がる。ただし、フォーマットの関係上、それなりにミラーショックがあるので、しっかりホールドしていないとブレてしまう。35mm一眼レフと違って、ライブビューは基本的に三脚使用時に使うものと割り切ろう。