視覚障がい者にも歩く楽しみを提供する「AuxDeco」
続いては、感覚系。まず試してみたのが、筆者も糖尿病からくる失明とかとても心配なので、2009年からすでに販売中というEyePlusPlusの視覚障がい者のための歩行支援ツール「AuxDeco(オーデコ)」(画像24)。ヘッドバンド、小型コンピュータ、バッテリという構成(画像25)で、見た目はおでこにバンダナというか、人気マンガ・アニメの「NARUTO-ナルト-」に出てくる忍者たちの額あてのようなイメージだ。
赤外線によって取得した周囲の構造物や障害物・ヒトなどの輪郭情報を、おでこに密着させた装置が軽い刺激でもって伝えるという仕組みだ。ピリピリっとした感覚で輪郭情報が提示されるのだが、1回着けた程度だと、目の前に壁があると何かあるというのはわかるが、さすがに具体的にどんな形をしているかというのまではわからなかった。おそらく、ヒトは視覚を失うと、残りの4つの感覚が失われた視覚情報の分を補おうとより鋭敏になるそうなので、使って慣れてくるのも加えて、もっとわかるようになるのだろう。
次は、身体で感じられるスポーツ中継のための研究「Haptic Broadcast」だ。映像と音声に合わせ、選手の使っているラケットやシューズの感触のデータも記録して合わせて放送するというもの(画像26)。テレビに接続された感触受信用のスポーツ用品を通してそうした触感を受け取ることができ、デモでは、バドミントンのラケットを使って、映像でヒトがシャトルを打つとその感触が伝わってくるというものだった。これはとても可能性があると思うのだが、例えば野球1つを取っても、野手がグラブでボールをキャッチしたり、バッターがボールをとらえたりした瞬間などが伝わると、臨場感があって面白いと思うのだが、どんなものだろうか。
個人的には、これでモータースポーツをやれると、面白いと思うのだが。ステアリングとペダル類は、ゲーム用でフォースフィードバック型が数万円で買えるし、あとはヘルメット型のバイザーに映像を映し出すモニターとか作れたら面白いと思う。あまり強烈なGは体験できないだろうが、そのヘルメットがGに合わせてどうにかして前後左右に動いて装着者を引っ張るようにすると、臨場感が増すのではないだろうか。アーケードの筐体のような形で、完全にコックピットを再現して、それがメーカーの研究用のドライビングシミュレーターみたいに機体を傾いて重力でGを擬似的に再現する仕組みなどを備えていると、もっと楽しいのだが、そういう楽しみ方はできないものだろうか。