過去数年のGoogle I/Oでの大きなテーマの1つに「Android vs. Chrome OS」というものがあった。過去数年、Googleは「Android」と「Chrome」という2つのモバイルOSプラットフォームを持っており、2つの異なるプラットフォームをユーザーに同時にアピールするという状態だった。
筆者の目からみれば、Googleとしての本流はWebアプリの流れを汲む「Chrome」であり、外部で進んでいたプロジェクトを買収することでスタートした「Android」のほうがどちらかといえば亜流に近い存在だった。過去のGoogle I/Oの参加者の話を聞いていると、世間の評判に反してChromeをプッシュする空気が明らかに強かったということだ。
Androidスマートフォンの世界シェアが7割に近付くなか、Android開発のトップだったAndy Rubin氏が同部門を外れ、Chrome部門トップのSundar Pichai氏がAndroidを含む開発総責任者に就く人事が発表されると、Google内部でのChrome推しがいよいよ本格化すると思ったほどだ。
だが現実には逆で、Androidの機能を他のプラットフォームへと拡大する方策を選んでおり、それは今回のGoogle I/Oで顕著となった。Google I/O以前の動きとして、Chrome OSで動作する「Chrome Apps」というWebアプリのパッケージをモバイルOSでも動作させる「Chrome Apps Mobile」が発表されたが、これはChrome Appsのエコシステムを拡大する施策というよりも、「Chrome AppsをAndroidやiOSアプリとして再パッケージする手段を提供するクロス開発プラットフォーム」の位置付けに留まっていた。ベースがWebアプリというだけで、実際のところこれまでのAndroidでのJavaアプリ開発と大きな差はない。