――一人で立った武道館のステージはいかがでしたか?
LiSA「長かったです。とにかくいろんな感情の上がり下がりがあったライブだったので、すごく長く感じました。武道館でのライブが決まったときは、こんなに自分が緊張するというか、プレッシャーを感じるとは思っていなかったんですよ。でも、当日が迫ってくるにつれて、楽しみという気持ちよりも、怖いという思いのほうが強くなっていきました」
――怖いというのは?
LiSA「これだけの人たちに対して、『期待しかしないでね』と言って、当日のステージを完璧なものにするため、自分の中の不安を振り払うように個人レッスンもいっぱいしたし、リハもたくさんしました。でもやっぱり怖かったんですよ」
――それはファンの期待にちゃんと応えられるのか? という怖さでしょうか?
LiSA「自分がネリネリした作戦を喜んでもらえなかったらどうしようという不安は常にあります。だけど、自分が良いと思っているものしか信じられるものはないし、それを好きだと言ってくれる人がついてきてくれているのだから、自分はそれを信じるしかない。CDを出すときも、自分がカッコいいと思って作ったものを出すのは当然なんですけど、それを受け取ってもらって、やっぱりカッコいいと言ってもらって、やっと安心できる。サプライズのお誕生日プレゼントみたいなものです。一生懸命に選んだけど、喜んでくれなかったらどうしよう……それと一緒かもしれません」
――なるほど
LiSA「怖かったからこそ、当日までに完璧なものを身体が覚えこむまでリハを重ねたんですけど、ギリギリになって体調が悪くなって、それでもっと不安になって、不安の要素がドンドン増えていって……。さらに当日新幹線が止まったりしたので、人が来られないかもしれない。みんな大丈夫かなって思うと、ドンドン不安が重なっていって、自分の体調もどうしたらいいのかわからない。だけど、絶対にみんなを不安にさせちゃいけない。自分が怖いと思っていることを見せてはいけない。そう思って頑張ったんですけど、3曲目で自分の弱さを見せてしまった瞬間、みんなが心配してくれているのがわかって、すごく申し訳ないと思いました」
――その瞬間が不安のピークですか?
LiSA「キモになっているのは3曲目ですね。1曲目、2曲目は、自分の中の不安をなくそうと思って一生懸命に歌っていたんですよ。でも、不安をなくそうと思って歌っているからこそ声が枯れてしまって。私が不安に思っていることがばれたと思ったとき、みんなを見たら、やっぱり心配してくれている。でも、その心配を超えて、先に大丈夫って言ってくれたのがわかったとき、私は今できることを精一杯やらなければいけないと思いました。みんながくれた今日という日をなかったことにしてはいけない。その1曲で頭が切り替わった感じはありますね。それからは1曲、1曲、今できることを精一杯にやろうと思って歌い続けました」
――意地でも最後まで歌い切るんだという感じですね
LiSA「今できる私の全力をここで出すんだと思いました。みんなが連れてきてくれて、やっと辿り着いた武道館を、中途半端で終わらせちゃいけない。また今度やりますとかいうわけにもいかないじゃないですか。だから、その時点で、これが私のすべてだと思えることをちゃんと出し切ろうと思いました」