――そこから再び夢に変わるのは?
LiSA「それでバンドを組んだりしていたんですけど、20歳のころにバンドを辞めたんですよ。そうしたら今度は地元にいる理由がなくなってしまった。それで、もう自分も20歳だし、これからは自分で勝負しなければいけないと思い、私は東京に行くんだ! って腹を決めた感じですね」
――バンドをやっているころは特にメジャーを意識したりはしなかったのですか?
LiSA「バンドをやっている頃はむしろメジャーになるのが悪いことだと思っていて(笑)、好きな音楽をただやりたい、それだけの気持ちでやっていました。でも、それがなくなったとき、やはり自分は音楽をやめたら何も残らない。ここで勝負しなければと思い、家出同然で東京に出てきました」
――そして東京に来て、念願のアーティストデビューを果たしたわけですが、その後ふたたび武道館を意識するようになったのは?
LiSA「やはりガルデモが始まってからですね。現実的な夢として、このまま頑張れば私にも武道館への道が開けるかもしれないと思いました。それはたぶん、少しずつ増えていく感じ、少しずつ何かを掴んでいく感じが、ちょっとずつだけど感じられたからこそですね。だから武道館という明確な場所が見えたんだと思います。それまでただ一人でもいいから、自分のことを好きになってくれる人を求めていて、その一人に聞かせることだけを考えていましたから」
――そして辿り着いた武道館ですが、最初に武道館でやることが決まったのはいつごろですか?
LiSA「最初に話があったのは2013年の頭くらいですね。ついに来た! って思いました」
――冷静でいられましたか?
LiSA「冷静に聞いてましたね。『武道館取れたから』って言われましたし(笑)」
――チケットが取れたみたいですね(笑)
LiSA「自分の中でも着実に会場が大きくなっていく感覚があったからだと思います。みんなと一緒に過ごしてきた時間の中で、渋谷公会堂、日比谷野音と、本当にひとつずつクリアしていった感覚があったので。武道館と聞いたときは、嬉しさよりも不安のほうが大きかったかもしれません。本当に自分が埋められるのかと」
――喜びよりも不安なんですね
LiSA「ただ、自分にとってまだ早いという気持ちはなかったです。決してそこがゴールだとは思っていなかったし、武道館に行くことで、これまで一緒に過ごしてきたみんなへの感謝の気持ちを伝えることができるなって思いました」
――そして迎えた1月3日ですが、最初にステージに上がったときはいかがでしたか?
LiSA「ピンクのサイリウムの波をみて、この人たちとここに来たんだって思いました。この人たちと一緒に辿りついんたんだって。武道館のステージ自体は、以前に別のイベントで立たせてもらったことがあったのですが、一人で立つのは初めてだったので、みんながピンクのライトを振って、みんながLiSAと呼んでくれる。その瞬間が、武道館に来たことを実感した一番の瞬間でした」