実質的にiBeaconそのものでは何もできないため(iBeaconのID識別と距離測定のみ)、これに決済やクーポン利用、ドアの解錠等に利用するには他の技術を組み合わせる必要がある。またApple自体がNFCに興味がないかといえばそうではなく、過去にはNFC導入に向けた具体的なアクションを起こしていた話は各方面で出てきており、以前に紹介したショッピング関連の通信特許にみられるように、さまざまな形でNFCに近い技術を組み合わせたサービスのアイデアを持っていることは確かだ。

ただ、現時点であえてNFCを導入する理由が薄く、優先順位が低いだけに過ぎないというのが筆者の見解だ。今年9月に発表されるであろう新iPhoneでNFCが搭載される可能性は低く、その1年後は搭載される可能性がそれよりは高くなるかもしれない……という程度だろう。

UnionPayはもともと2012年にSDカードをベースにしたNFCの非接触決済サービスを展開しており、2013年にはChina Mobileとの提携でTSM(Trusted Service Manager)経由のスマートフォンを使ったNFC決済サービスのテストを開始した同社TSMに接続する提携銀行の数も増え、おそらく2014年中には本格的なサービスが都市部を中心にスタートするとみられる。

ただ、端末へのNFC搭載はChina Mobile等での取り扱い条件には含まれていないとみられるため、NFC対応の有無はApple側の判断によるだろう。もっとも現時点でUnionPayとAppleとの合意が成立したとして、今年9月のiPhoneのタイミングでは間に合わず、実際に中国を含む世界でのNFC関連サービスの普及状況をみて来年以降の導入を検討……というのが現実路線だと思われる。